劇場公開日 2021年6月11日

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「語るときは及び腰になるんですって」男の優しさは全部下心なんですって sweet back mantraさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0語るときは及び腰になるんですって

2021年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

小生、身も心も男性です。
この映画、面白いです。
だけれども、誰かにお薦めできるかというと、
こう、プライベートな感じがして…、他人に自分の本棚を見せる感じというか。
いやー、「こういう恋愛地獄絵図が好きなの?男性なのに?」って男性には言われそうだし、
「うわっ、この人この映画に共感してる」って女性には思われたくないしなぁ。
確実にカップルやアベック的な2人で観るのは避けたほうが良いと思います。

うまい具合に芯を避けつつお薦めポイントをあげてみます。

・辻千恵が主人公にフィットしている
男性目線のちょうど良い感じの見た目を体現している。
関係を持つ男性に応じてちょうど良く(“都合よく”ではない)なる主人公を見事に演じている。

・男性目線と女性目線の両方を意識した配役
男性が好きな女優、女性が好きそうな男優で絶妙。

・性交に関することが俯瞰的
男女それぞれの幻想ではなく、男女それぞれの欲望が交わっている。

・セリフがいきている
テンポが良くて、かつリアルで、そして面白いです。

・後藤まりこの音楽が良い
ヌイグルミを着た主人公に映画監督がハッスルしている時が混沌の極みです。

・ヒリヒリする
「ありきたりなシナリオ」的なセリフを吐き捨てられ、
サングリアをビシャーされます。
そう、悲しいかな、これはありきたりな話なのですよ。

・後味すっきり
ゴーストワールドを思い出す、印象的なラスト。

・エンドロールが自主製作的
突然な手作り感で親近感を生む。

・上映時間がちょうどよい
90分以内

総評
この手のドラマはテレビやビデオ、配信で事足りる事が多いですが、
この映画は画の色調が豊かで俳優も俗的な感じがしないので大画面で観れて満足です。
演出も少しケレン味があります。
…中途半端にモテる方が鑑賞すると男女問わずグッとくるものがあるのではないでしょうか。
いや、私はぜんぜんモテないですけどね。

こういう映画もあるんだって良い悪いは別として皆さんには観てもらいたいです。

あと、イオンシネマの「良い作品なら俺の映画館でかけちょるよ」的姿勢、深謝。

sweet back mantra