劇場公開日 2021年11月5日 PROMOTION

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アンテベラム : 特集

2021年11月1日更新

「ゲット・アウト」「アス」プロデューサーが放つ
“最上級のネタバレ厳禁映画” これはやられた!
脳に極限のショックを与える、どんでん返しスリラー

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これは危険な映画だ。いわゆる“どんでん返し”があり、それを観たとき、まるで脳に仕掛けられた爆弾が炸裂するかのようなショックを食らうだろう。

11月5日公開のパラドックス・スリラー「アンテベラム」。映画ファンを熱狂させた「ゲット・アウト」「アス」のプロデューサーが製作を務め、両作に負けず劣らずの“これはやられた!”というスリル&サプライズをもたらしてくれる。

ここ数年でも指折りの衝撃作。その魅力を、ネタバレには十分注意しながら紹介していこう。また記事の最後には、ネタバレを極力回避した形のネタバレ“あり”レビューを掲載。興味のある人は一読してみてほしい。


【予告編】この悪夢は、本物

「ゲット・アウト」「アス」に続く“驚愕作” 予想の
斜め上の鮮烈な展開が、あなたを未体験の領域へ導く

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[スタッフとあらすじ]今度はどう驚かせてくれる?名手が描く“パラドックス・スリラー”

先読みできぬスリルが横溢し、暗渠に放り込まれるような新感覚の恐怖を映画ファンに与えた「ゲット・アウト」「アス」。これらに驚愕した人ならば、本作「アンテベラム」はまず鑑賞したほうがよい作品である。

両作でプロデューサーのひとりとして活躍したショーン・マッキトリックが、本作の製作を担当。主演に「ムーンライト」「ドリーム」で存在感を示したジャネール・モネイ(グラミー賞候補の常連シンガー)を迎え、創出したのはあらゆる思考が吹っ飛ぶ“迷宮的映画体験”だ。

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社会学者で人気作家でもあるヴェロニカ(モネイ)は、優しい夫、愛くるしい幼い娘との幸せな家庭を築き上げていた。ある日、ニューオーリンズでの講演会に招かれた彼女は、力強いスピーチで拍手喝采を浴びる。しかし友人たちとのディナーを楽しんだ直後、ヴェロニカの日常は突然崩壊し、究極の矛盾をはらんだ悪夢へと反転する。

一方、奴隷制度を信奉する南軍の旗が掲げられた、アメリカ南部のプランテーション。ここで囚われの身となったエデン(モネイ)は、過酷な労働を強いられていた。彼女は屈辱と恐怖の日々を耐え忍び、脱出のチャンスをうかがっていた。やがてある悲劇をきっかけに、奴隷仲間の男性イーライとともに脱走計画を実行するが……。

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[裏切られる、が逆に爽快]語りたくなる、でも語れない…“極上のネタバレ厳禁映画”

異なる境遇に生きるヴェロニカとエデン。2人の物語にどのような関連があるのか、それは時間を追うごとに徐々に、しかし唐突に明らかになる。真実はあなたの予想の斜め上をいくため、“仕掛け”が発動されたとき、思わず「えっ」と声を上げてしまうだろう。

脳に炭酸をかけられたような感覚が味わえ、観終わった時には誰かと語り合いたくなる。しかし未見の相手にネタバレは絶対にできない。「シックス・センス」よろしく、本作もまた“極上のネタバレ厳禁映画”である。情報が出回ってしまう前に、一刻も早く劇場で鑑賞することをおすすめする。

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あの人も、この人も、完璧に「やられた!」
あなたは真実を見抜き、100%の回答を導き出せるか?

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映画.com編集部もひと足先に鑑賞し、完璧に“やられた”。しかしそれは、何も我々に限った話ではない。


●インフルエンサー、映画評論家の鑑賞後は…どんな感想が飛び出した?

実際に鑑賞した3人の著名人による感想を、ここに紹介しよう。

人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)「2つの時間軸で進む物語が交差した時、映画にはまだこんな引き出しがあったのか!と唸らされた。語り方・見せ方一つでここまで新鮮な驚きを与えることができる。これぞアイデアの勝利だ」

ナマニク(文筆家・映画評論家)「『奴隷は黙って綿を摘め!白人はノーテンキに酒でも飲んどけ!』昨今のポリコレを意識した映画を徹底的に揶揄。差別意識を笑いものにするブラックスプロイテーション映画。エンパワーメントなど無意味なのだ!」

ビニールタッキー(映画宣伝ウォッチャー)「身の毛もよだつ恐怖と衝撃!過酷なプランテーションの奴隷と先進的な社会学者。正反対の二人が悪夢的に繋がる時、人間の底知れぬおぞましさと、いかなる状況でも決して折れない力強さが炙り出される」

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●注目してほしい“細かなモチーフ” 謎めいた道標をたどると…

メガホンをとった新進気鋭の監督コンビ、ジェラルド・ブッシュ&クリストファー・レンツは、実に見事にヒントを散りばめている。画面の端々に映り込む細やかなモチーフに目を凝らしたとき、見えないものが見えてくる。

例えば、エデンの腰に焼き付けられた刻印。スマートフォンの着信音。ホテルの内廊下で飛び跳ねるように走る少女、会話のテンポが微妙にずれるフロント係、講演会で最前列に陣取る女、バーで出会う男。空を泳ぐように飛ぶ飛行機。綿の花束……。

謎めいたモチーフをたどっていけば、知らぬ間に物語に深く没入し、やがて驚愕の真実にたどり着く仕掛けになっている。まるで脱出ゲームみたいに謎解きの快感を味わうことも可能なのだ。ゲームに身を投じるように、劇場へ足を運ぶといい。

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【ネタバレありレビュー】鑑賞後に読んでください
映画.com編集部が“トリックの妙”を解説

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ここからはネタバレを含みながら、本作のトリックの巧みさに言及していこう。が、普通に読む分にはネタバレを読めないよう、黒塗りを配置しつつ記述する。

以下の黒塗り部分は、PCならドラッグで、スマートフォンなら該当箇所をコピーしてメモ帳などに貼り付ければ読めるようになる。※本当に核心部分にガッツリ触れているので、未見の人は興味本位でも黒塗り部分を覗かないでほしい。


●“最初にして最大の仕掛け”は不可避のトリック

まずもって目を引くのは、オープニングシーンの異常さだ。それはウィリアム・フォークナーの言葉「過去は決して死なない 過ぎ去りさえしないのだ」を引用して始まる。カメラは低空飛行するドローンのような一人称視点で、プランテーションの入り口をくぐり、ゆっくりと水平移動しながら“アンテベラム(南北戦争以前)”の風景をとらえていく。

この間、カットは割られることなく、およそ5分にわたる長回しがスクリーンに映し出される。胃の内側に冷たい汗が流れるようなこのシークエンスでは、プランテーションの細部を見て取れるわけだが、現代を思わせる装置はひとつも入り込まないため、観客はここが“過去”であると自然に誤解する。映画の幕開けに最初にして最大のトリックが仕掛けられている……叙述トリックを山ほどみてきたミステリーマニアでも、身構える態勢が整っていないオープニングで気づかないくらい巧みにミスリードされたら、かなりの確率で“騙される”のではないだろうか

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ちなみに筆者はオープニングで“プランテーションは過去”としっかり刷り込まれた。それだけに先の物語を「はは~ん、ヴェロニカは何らかの理由で南北戦争以前の南部にタイムスリップし、エデンとして囚われの身になるんだな」とか予想していたが、鑑賞後の今にして思えばピント外れもいいところだ。スマートフォンの着信音でふたつの物語が“つながった”瞬間、まったく予期していなかった展開に「え? は? え?」と普通に大声を上げ、なぜか笑ってしまうくらい驚かされた。

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●情報開示を調整するだけで、ここまで面白くなるとは

本作はこうした、観客が自然と予想(勘違い)し、やがて明かされる真相にノックアウトされるようなミスリードが、冒頭から終盤まで非常に多く散りばめられている。認知科学によると、人間の脳は「自分の予想が当たっていた時」に快感が生じ、一方で「予想を上回った時」にも快感が生じるようになっているそうだ。筆者の本作の映画体験は、「ヴェロニカとエデンが同一人物」という予想は当たっていたが、「両者とも同一の時代」という部分で見事に驚かされた。つまり認知科学の観点からも、一番楽しい形で鑑賞できたと言える。

そしてもうひとつのトピックは、ストーリーテリングの巧みさだ。本作の物語をざっくり時系列通りに整理すると、①ヴェロニカが講演会へ→②連れ去られる→③マザーズ上院議員のプランテーションで奴隷にされる→④ヴェロニカ=エデンが奴隷の日々を生きる→⑤脱走、という順になる。わかりやすさを求めれば、普通はこういう脚本を書くだろうが、眺めてみると「意外性はない」と思ってしまう。

そこで脚本・監督のジェラルド・ブッシュ&クリストファー・レンツは、順番を入れ替えたのだ。映画で実際に描写されたのは④ヴェロニカ=エデンが奴隷の日々を生きる→①ヴェロニカが講演会へ(④と①が交互に描写)→②連れ去られる→③マザーズ上院議員のプランテーションで奴隷にされる→⑤脱走、という順。このように情報開示の順番を入れ替え、非線形の物語を構築することで意外性を獲得し、謎解きのスリルと真相の驚愕っぷりを何倍にも増幅させている。

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これ自体はクエンティン・タランティーノ監督作「パルプ・フィクション」などに代表される“時系列シャッフル”として普遍化されている技法だが、本作ほど有機的に機能しているのは稀だろう。順番を入れ替えるだけでここまで面白くなり、映画でもここまで完璧に叙述トリックを実現できるのかと、ただただ驚かされた。

本作のブッシュ&レンツ両監督は、キャリアはそこまで長くないわけだが、人間の認知構造を知り尽くし、どう描けば観客が驚くかを熟知しているようだ。その手腕から推し量るに、今後の活躍がありありと目に浮かぶ。

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