劇場公開日 2021年12月17日

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「大人になってしまったら…」ボス・ベイビー ファミリー・ミッション 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5大人になってしまったら…

2022年5月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

単純

日本では見た目は子供、頭脳は大人の高校生名探偵が変わらぬ人気だが、こちらは見た目は赤ちゃん、中身はおっさん。
そんなギャップが受けて、日本でもドリームワークス・アニメーションとしては異例の大ヒットとなった前作。
“赤ちゃん社長”が帰ってきた。

かく言う私、前作は“ボス・ベイビー”のキャラはなかなか気に入り、話もまあ悪くはなかったけど、スゲー最高!…ってほどではなかった。
可もなく不可もなく。同じドリームワークス・アニメーションなら『シュレック』や『カンフー・パンダ』、特に『ヒックとドラゴン』の方がお気に入りかな。本当にキャラがユニークだっただけ。
それに、続編作れるラストじゃなかったような…?
まあ、その辺はどうにでもなる。

あれから25年が経ち、兄ティムは二人の娘を持つ専業主夫に、“ボス・ベイビー”こと弟テッドは本当の会社社長になっていた。が、成長と共に疎遠となり…。
そんな二人がまたまた“ベイビー・ミッション”に挑む事に…!

前作は赤ちゃんの座を奪おうとする子犬と首謀者の陰謀だったが、今回はとある学校。そこの校長が何かを企んでいるという…。
ミッションは、その学校に潜入して、校長の陰謀を暴く。
…でも、もう大人になったのに、どうやって…?
ご安心を。“ベイビー社”が開発した48時間だけ赤ちゃんの姿に戻れる薬で。
そのミッションを下したのは、ティムの赤子の次女で、実はベイビー社から派遣されて来た“ボス・レディ”ことティナ。
ミッション、開始!

前作も潜入やミッションはあったが、よりスパイ映画風に。
新たなキャラ、新たな敵。
家族愛、ティムとテッドの兄弟愛…。
今回もエンタメやファミリー要素をたっぷり詰め込んではいるが、何だか前作の焼き直しにしか思えなかった。

校長の意外な正体。実は彼も赤ちゃん。大人以上の天才的な頭脳。
大人は無用。子供を自立させ、大人の居ない社会を作る。
“B-DAY”。開発したアプリで親たちを“ゾンビ化”させて意のままに操る。
とんでもねー事企む奴だが、前作から敵が子犬から学校に変わっただけ。
学校にはティムの長女タビサが通う。
最近タビサは親離れ。ティムは寂しい。
その原因は子供の自立を促す学校のせい。
“同級生”として交流を深め、学力トップだが歌が苦手なタビサにアドバイス。
ティムとタビサの父娘の関係。
“ボス・レディ”の次女のキャラなどよりファミリー色を濃くしているようだが、面白味や新味は薄い。(多部ちゃんの吹替は良かったが)
ティムとテッドの兄弟愛の方がシンプルで良かった。
疎遠になっていて、喧嘩して、また絆を再確認して…。
勿論ティムとテッドの兄弟愛も描かれるが、前作ほど響かず。
また、設定も。前回は子供/赤ちゃんのままだったが、今回は大人になっていて子供に戻る。
これが頂けなかった。見た目は子供、中身は大人という設定に外れてはいないが、何か違うんだな…。
捻くり回さず、子供/赤ちゃんの視点のままの方が皮肉が効いてて面白い。

ドタバタやアクションは変わらずただ騒々しいだけの子供向け。大人にはちと退屈。
家族の力、愛で立ち向かう。最後はファミリー・アニメーション映画らしくハッピーエンドで終わるが、何もかも予定調和。
人気のおこぼれで作られたような続編。やはり前作のキャラや設定だけがピークだったのかな…?

今回は“大人になるとは…?”というテーマが問い掛けられている。
理想的なメッセージは描かれている。
が…
一度大人になってしまったら、もう子供の頃には戻れない。
そんな感じもした。

近大