カポネ

劇場公開日:

カポネ

解説

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のトム・ハーディが、“暗黒街の顔役”と恐れられた伝説のギャング、アル・カポネを演じた伝記映画。「クロニクル」のジョシュ・トランクが自らのアイデアを基に脚本・監督を務め、カポネの知られざる最晩年を新たな視点で描き出す。1940年代。長い服役生活を終えたカポネは、フロリダの大邸宅で家族や友人に囲まれながらひっそりと暮らしていた。かつてのカリスマ性はすっかり失われ、梅毒の影響による認知症が彼をむしばんでいる。一方、FBIのクロフォード捜査官はカポネが仮病を装っていると疑い、1000万ドルとも言われる隠し財産の所在を探るべく執拗な監視を続けていた。カポネの病状は悪化の一途をたどり、現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返すようになっていく。共演に「ハウス・ジャック・ビルト」のマット・ディロン、「ダンケルク」のジャック・ロウデン、「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクラン。

2020年製作/104分/R15+/アメリカ・カナダ合作
原題:Capone
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2021年2月26日

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映画レビュー

3.5監督のメンタルを注ぎ込んだ意識混濁ムービー

2021年2月28日
PCから投稿
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村山章

3.0評価は割れるところだが、若き監督の再起を素直に喜びたい

2021年2月26日
PCから投稿

ジョシュ・トランク監督の名を久々に見た。『クロニクル』が絶賛されながらも、『ファンタスティック4』でスタジオ側と衝突し、作品そのものも酷評されてしまった彼。もはや再起は無理と思っていたが、全く異なる作風でのカムバックを嬉しく思う。その真価はいかに。ある種のとっつきにくさはあるにせよ、映画が進むごとに「なるほど」と感じた。全然、嫌いではない。いざ映画化しようと思えば生誕から死までのあらゆる瞬間が素材となり得る「アル・カポネ」という怪物を、あえて晩年の一期間という額縁の中にギュッと凝縮させて描く。そのアイディアと視点は面白い。正気と狂気。混濁する記憶の淵に隠されたもの。怪演なのか熱演なのか、それともこれは笑うところなのか、判別つかないほどぶっ飛んだトム・ハーディの演技。私にはこれがハリウッドで満身創痍となったトランク監督の精神世界そのものに思えてならなかった・・・と言うのは極論すぎるだろうか。

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牛津厚信

3.5「クロニクル」監督の持ち味を活かしきれず

2021年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

ジョシュ・トランク監督デビュー作の「クロニクル」は、オリジナルなアイデアと低予算の割にリアルで意外性のあるVFXでSFファンを楽しませてくれた。第2作「ファンタスティック・フォー」(2015年版)は残念な出来だったので、今度こそはと期待していたのだが…。

米国のみならずおそらく世界でも史上最も悪名高いギャングであろうアル・カポネを登場させた、あるいはモデルにした映画は多々あるが、服役後の晩年を取り上げるというのは珍しく、それゆえに挑戦のしがいがあったのはよくわかる。450件もの殺人に関与したとされる大悪党が、晩年は梅毒の後遺症で認知症を患い、幻覚と現実の区別がつかなかったり人前で失禁したりなど、もの悲しいエピソードが続き、確かに全盛期とのギャップが興味深くはある。主人公の幻覚を客観的な映像とシームレスに見せる演出は、(ホラーやサスペンスを除外すると)例えばロン・ハワード監督作「ビューティフル・マインド」などを思い出させる。おそらくはカポネの意識を疑似体験させる狙いもあったと思われるが、不必要に観客を振り回している気がしなくもない。

毎日4時間の特殊メイクを施されたというトム・ハーディはさすがの熱演で、病状ゆえに表情豊かにできない制約をものともせず繊細な表現で飽きさせない。カポネの妻を演じたのは「グリーンブック」で最高にチャーミングだったリンダ・カーデリニだが、彼女の魅力も十分に活かせていなかった。

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高森 郁哉

3.5それでもユーモラスでチャーミングなトムハがいる

2021年2月23日
PCから投稿

泣ける

笑える

画面に登場するのは、長い服役を終えた後の、梅毒の末期症状と頻繁に起きる幻覚に悩まされる、年老いて(とはいえまだ40代)心身ともにボロボロになったアル・カポネの姿である。フロリダの大邸宅で最後の命を繋ぐカポネは、医者から禁じられた葉巻の代わりにニンジンを咥えさせられ、幻覚に悩まされ、目は充血し、排泄もままならずオムツのまま邸内をうろついている。邸宅の外では、隠しマイクでカポネの隠し金、1000万ドルの在処をなんとかして聞き出そうとFBIが待機している。彼らはカポネが記憶を無くしたふりをしているのではないかと疑っている。事実はどうなのか?そんな、現実と幻想、現在と過去、正気と狂気を自在に行き来する元ギャングスターを、トム・ハーディが嬉々として演じている。時々意味不明になる脚本も、演技力(腕力と言ってもいい)でねじ伏せていくハーディを見ていると、つくづく彼はアル・カポネを演じたかったのだろうと思う(実際、かつて1度あったチャンスを逃している)。特に、カポネの中で唯一の真実が何だったのかが分かる幕切れのショットは、『アイリッシュマン』のラスト30分や、あの『市民ケーン』を彷彿とさせるほどだ。『インセプション』や『ダンケルク』のハーディ・ファンは顔面蒼白だろうが、熱演と言うのは度を越すとユーモラスでチャーミングに見えてくるという魅惑の体験を、ここでお約束しよう。

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清藤秀人