劇場公開日 2021年2月19日

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「風化させてはならない、決して!」めぐみへの誓い pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0風化させてはならない、決して!

2021年3月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

90年代、北朝鮮拉致問題に関するニュースは頻繁にメディアで取り上げられていた。大変な事が起きていると感じたし、許されない事だと思った。
しかし、それはどこか対岸の火事のような、遠い場所での出来事であるかのような、そんな茫漠とした思いに過ぎなかった。

しかし今、自分も大人となり、結婚し、娘が生まれ、、、その娘が13歳の誕生日を迎えた日に、ふと、横田めぐみさんの話が脳裏をよぎった。
もし、この子が学校帰りに、家から僅か200m以内の道で拉致されたなら?
自分の自宅に置き換えてみると200mの距離も生々しくわかる。
ああ、いつも当たり前に通学している、あの辺りまで友達と一緒にいて、そこから僅かこれだけの道のりの間に!
横田ご夫妻は、何十年間もこんな思いを抱えて過ごしてこられたのか!
今までいかに自分の想像力は貧困であったのかを再認識させられた。
その後、自分なりに北朝鮮拉致問題について、資料を集め、目を通すようになった。

今回、この映画の存在を知り、何としても観たい、という強い思いが湧いた。
拉致の状況も、元・北朝鮮工作員の安明進さん(アン・ミョンジン、1993年、韓国に亡命)が、めぐみさんと思われる女性をよく覚えていて、詳しく語っている。安さんは、めぐみさん拉致実行犯の1人だった工作員リーダーから、1988年にこの話を直接聞かされていたのだ。
だから、本作の恐ろしい拉致シーンは証言に基いた再現映像だ。北朝鮮もよもや13歳の少女を拉致するつもりはなかったらしい。めぐみさんは背が高かった為に「大人に工作現場を見られた」と工作員が思い込んだ為、巻き込まれたのであった。
まだあどけなさの残る少女にとって、どれだけ怖く恐ろしかったか。どんなに辛く苦しかった事か!

今、北朝鮮はのらりくらりと待っているのであろう。
拉致被害者とその家族達が生存が危ぶまれる程の高齢に達する日を。
実際、被害者の親御さんで存命の方は現在2名しかおられない。
問題は風化の兆しを見せ、扱いは明らかに軽んじられるようになってきていると感じる。

しかし、この重大な問題は微塵も解決していない!
想像してみよう!
あなたにとって世界一大切な小さい子が、理不尽な暴力によって連れ去られ、刑務所以上に自由を制限された場所で、命の恐怖を感じながら長い日々を過ごしているとしたら?

救い出さなければ!
数多くの日本人が、動こうとしなければ!
奪われ、失われた人生をせめて少しだけでも補填して欲しい・・・
再犯防止だけでは足りないのだ・・・

道のりは遥かに険しく、非常に難しい問題だが、どうか1人でも多くの人が気に止めてくれる事を願い高評価したい。

pipi
bloodtrailさんのコメント
2021年3月27日

pipiさんへ
何か「同じ階の住人」に出会った気分ですw
不幸にも、中朝韓の三カ国は、国際法も二国間の約束も平気で破る無法国家です。こうした国とどう向き合うのか、は経済・軍事の併用で対処するしかないのが現実。
もしも、中国の潜水艦が太平洋に出て北上してしまえば、欧州各国は北極圏周りのSLBMの射程圏内に入ります。今年1月、ロシアはオホーツク海から射程8,000kmのSLBMを自国領土内に打ち込むと言うパフォーマンスを実行。その直後、最後まで渋っていたドイツもフリゲート艦をアジアに派遣する事を決定。ロシアのパフォーマンスは「お前ら中国を好きにさせ過ぎだ」と言うNATOへの注意喚起と見ています。この夏、NATOによる空母打撃群が南シナ海に出来上がります。第一列島線の守備、中国が環礁を埋め立てて造った要塞への圧力が任務。
21世紀の現在、近代国家の軍事力は「戦争を起こさないため」のものです。中朝は、近代国家じゃないんですね、この視点で言うと。約束を守らないし、法を無視するから。ここが問題なんです。

bloodtrail
bloodtrailさんのコメント
2021年3月26日

pipiさんへ
あの時の小泉さんはヒーローに見えました!政権としては色々ありましたけど、それは置いといてw
日本は、あの時、色んな事を学びました。「北朝鮮の話は信じちゃダメ」、「金をあげちゃいけない」、ってのは反省点。あの訪朝時、金総書記を鬼の形相で睨みつけてた安倍晋三さんは総理になり、この二点を徹底。北朝鮮へのあらゆる金の流れを断ち切りましたが、拉致問題解決は進展しませんでした。結局のところ「無法な暴力にはどう対処しなければならないか」って事なんだと思います。

bloodtrail
bloodtrailさんのコメント
2021年3月26日

pipiさんへ
バイデン就任直後は絶望的でした。国防の諮問委員会からトランプ派を排除。同時期、「中国に対しては戦略的忍耐で臨む」「一つの中国を支持する」等と発言。正直、日本も台湾も終わったと思いましたが、ペンタゴンはこれまでの戦略を継続しています。
結局、北朝鮮も中国も、ペンタゴンの戦略に変更が無い限り日本と台湾には手が出せません。具体的には、中国は日本の技術を盗用して作った固形燃料ロケットを160発以上南部沿岸地域に配備(2020/8)。この時点で、地域の軍事バランスは逆転しましたが、米とNATOは、これを無力化するために3つの空母打撃群を派遣予定(2021/9までに)。詳細や厳密な話は割愛しますが、この状況下では中国は「手を出せば逆に壊滅」なので「口だけ番長」するしかありません。
いずれにしてもバイデンには意思決定の実権が無いと見られます。日本が戦火に巻き込まれることは無いです。ただし、梯子を外されても国土と国民の命を守れるだけの備え(装備&法)は必要ですよね。

bloodtrail
bloodtrailさんのコメント
2021年3月25日

pipiさんへ
米国にとって北朝鮮は「中国の一部」。米の戦略は「体制維持は認めるから中国の言いなりになるな」。拉致問題は安倍前総理がトランプに働きかけ圧力を掛けて貰ったと言うのが実情。毅然とした態度、だけでは北朝鮮を変える事は出来ません。「中国から寝返った方が良い」と思わせれば完璧ですが難しいですよね。
具体的に、米中間で事が起きれば中国は完敗する、と言う状態を作らなければ、北朝鮮は日米に譲歩しません。拉致問題は、今や対中問題との繋がり・延長線上で戦略的に動かなければ、解決できないと言う認識です。ただし、当事国である我が国の政府には、毅然とした、かつ一貫性のある対応は当然取り続けて欲しい、って思います。

bloodtrail
bloodtrailさんのコメント
2021年3月23日

pipiさんへ
極力、政治の話はしたくないのですが、この映画だけは避けて通れないですね。
アメリカ前国務長官マティスも、先日のブリケンも、来日した際、胸にブルーリボンを付けていました。「お前らならず者国家は許さない、絶対に取引しない」と言う、北朝鮮に対する明確なメッセージと言うだけで、拉致被害者を取り返すと言う具体的な交渉や行動を起こす、ってほどじゃないにしても嬉しいもんです。いや、トランプは言ったかも知れません。
いずれにしても当事国である日本は、国会の場で対応を審議をすべきなんですけどねぇ。碌な議論が無いんですね。やるやる番長化した与党。拉致被害など無かった事にしてしまいダンマリを決め込む野党。これ以上の拉致等を許さない法案を潰して来た野党とメディア。その野党とメディアこそが正義だと思い違いをしている人達。拉致問題の質問が始まると、そそくさと退場する旧社会党の面々を見ると、腹立たしさしかありません。
それが今の日本。このままで良いと思っているのですか?って問いかける映画でした。

bloodtrail