KCIA 南山の部長たちのレビュー・感想・評価
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イアーゴ
1961年の軍事クーデターで権力を握り、63年から16年にわたり韓国大統領の座に君臨したパク・チョンヒ。79年10月26日、彼は、大統領直属の情報機関だった韓国中央情報部(KCIA)の部長に暗殺された。その背景を、犯人であるキム部長の視点から解き明かした政治サスペンスである。原作はキム・チュンシクのノンフィクションだが、映画は「実話に基づくフィクション」として人物名が変更されている。
主演のイ・ビョンホンは、18年前の革命の大儀を忘れた大統領への憤りと、粛清の恐怖に支配されていくキム部長の心理を細やかに表現している。
韓国のみならず、アメリカやフランスロケも見どころの一つである。
朴正煕暗殺に至る経緯を描いた佳作
韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領。
ちょっと前に大統領をやっていた朴槿恵(パク・クネ)のお父さん。
私は韓国の歴史は詳しくないので、戦後の韓国政治がどんな風に推移してきたかを知らない。それを知ろうと思う、良いキッカケとなる良作だった。
韓国は戦後ずっと軍政だったんだな。。
これを書いている2021年2月現在、ミャンマーで国軍がクーデター起こして大騒ぎになっているが、軍人が政治やっても良いことなど何もない。それはこの数百年の歴史が証明している。しかし、韓国では1987年に盧泰愚(ノテウ)大統領になり、ようやく民主化が実現できたのか・・まだほんの30年前じゃないか。
私は今45歳なので、私と同じ世代の韓国の人なら軍政時代を知ってることになる。韓国では政治デモが盛んだが、長い苦しみの上に勝ち取った民主主義だからこその行為なのだろう。日本の現状と比べると何とも自分達が情けなくなるが。。
この映画では、その朴正煕暗殺までの40日間を描いている。
主演のイ・ビョンホンがまた渋い。良い俳優さん。
当時の中央情報部(KCIA)部長で暗殺を実行した金載圭(キム・ギュピョン)を演じている。キム・ギュピョンはその後死刑になるが、この映画の最後に本人の音声が流れる。これがまた素晴らしい。韓国内で再評価されているらしいが当然だろう。
周りの俳優の演技も本当に良かった。
しかし、韓国映画のレベルは明らかにもう日本を超えてるな。最近のテンプレ化した日本映画など、アニメ以外は観る気がしないもんな。。日本の俳優って、アイドルがテレビで有名になったついでに俳優やる、とかばっか。全然違う仕事なのに。韓国では、というか、他国ではその棲み分けは当たり前にやってるだろう。映画の音楽も感動を強要するテンプレ音楽でホントに観る気が失せる。
韓国の映画界は、黒沢・小津監督時代の昔の日本に似た状況なのかもね。
そのまま変な方向に曲がることなく、良い作品を生み出し続けてもらいたいものです。
【"あの頃は良かった・・。" 軍事国家の道を再び突き進む国を憂い、哀しむ"革命家"の苦悩する姿を描いた作品。全編を覆う緊迫感が尋常ではない作品でもある。】
- 冒頭、今作品は"フィクション"である、というテロップが流れる。
朴正煕大統領暗殺事件の真相は、今だに闇の中だからである。-
■今作品の印象
・金載圭韓国中央情報部長をモデルとした役を演じたイ・ビョンホンの深い憂愁を湛えた表情。彼が笑顔を浮かべるシーンは、作り笑いのシーンのみである。
彼が、第4代韓国中央情報部長だったパクが亡命したアメリカに渡り、彼が朴大統領を批判した原稿を持ち帰るも、徐々に朴大統領の信頼を失い、クァク警護室長に大統領の”信頼”が移っていく様を見る哀し気な表情。
・全編を覆う尋常ではない緊迫感。朴正煕大統領の行く末が分かっていても・・。
・朴大統領の孤独感を現す、酒に酔って、詩を読むシーン。
組織のトップは"得たいの知れないどす黒い孤独"を、常に感じているのであろう。
だから、彼も、嘗ての”革命の志”を長期政権を維持する中で失っていくのであろう。
朴大統領を演じたイ・ソンミンは「工作 黒金星」で、瞠目した俳優であるが、今作の演技も凄かった。
且つての革命家としての自分と、保身に走る現在の自分の姿を比較し、諦観したかのような表情。そして、時に檄する表情、声。
◆今作の真相は、一般的には映画のラストでテロップで流れた事になっているのであろう。だが、金載圭の肉声
”革命家として、民主主義を・・”
を聞くと、もしかしたら・・、と思ってしまった作品。
そして、それが真実だったとしても、朴大統領の後に韓国の実権を掌握した全斗煥は民主化運動を弾圧した”光州事件”を起こし、多数の市民が虐殺されている。
「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」で、詳細が描かれた事は記憶に新しい。
何とも空しい・・。
<韓国映画は、近年でも、多くの優れたポリティカル映画を排出している。
(上記2作や「1987、ある闘いの真実」は秀作だが、イケメンのチョン・ウソンが欲に塗れたソウル中央地検の部長検事を演じた「ザ・キング」も好きでした。)
お国柄の違いなのだろうか。
それにしても、歴代の韓国大統領の最期は悲劇的なモノが多い。
全斗煥は、無期懲役となり、盧泰愚は懲役17年(のち、減刑) 盧武鉉は自死 朴正煕の娘である、朴槿恵も生きて獄から出て来れないであろう・・。
大統領に、権力が集中し過ぎる政治構造が原因だが、それにしても多すぎないか・・。>
■蛇足
<部長と室長は仲が悪い問題>
今作でも、金載圭韓国中央情報部長と、クァク警護室長との確執が多くの場面で描かれているが、実組織でも似たような事は多いのではないだろうか?
因みに、私は今作の様な”上に媚び諂う”室長は、本人とお話しして、適材適所な部署に行って貰う事にしている。
そのうち、宴会の場で、銃で撃たれちゃうかな?
(撃たれたら、”なんじゃこりゃー!”と言うつもりです。)
すいません・・。
自分の無知に嘆く
1979年、自分は16歳だった。高校生なので、一応、世界の情勢にも目を向ける位の度量があるはずなのだが、こんな凄い事件があったのは映画を観て知った。「1987、ある闘いの真実」を観たときも同様な感想、1987年は大学生で学校には行かず、遊んでばかりいた(当時の医学部は殆ど出席しなくても進級できた)。韓国って大変な歴史を歩んでいたんだと自分の無知を嘆く。
子供じみた嫉妬と疑心暗鬼が暴走するずっしり重いポリティカルフィクション
1979年、アメリカに亡命した韓国の諜報機関KCIAの前部長パクが下院議員聴聞会でパク・チョンヒ大統領が今までに行なってきた数々の不正行為を告発した。激怒した大統領はパクの後任の情報部長キムに事態を収拾するよう指示、渡米したキム部長はパクに接触するがそこで自身の与り知らぬ政治的な動きがあることを知らされ動揺する。
実録ドラマであるかのような緊迫感で暗殺事件が起こるまでの40日間をスリリングに活写したポリティカルフィクション。大統領とキム部長が酒席で交わす短い会話で二人の断ち難い友情を垣間見せているので、強大な権力を持つことで逆に誰も共感出来ない深い孤独感に苛まれる大統領の焦燥、純粋な愛国心と忠誠心があるがゆえに大統領の意に沿わない忠告も辞さないキム部長の苦悩に終始深い陰影が宿っています。大統領が自身の権力を誇示するために呟く犬笛が劇中で何度も何度も繰り返され、米国政府の干渉や自国政府内でのパワーゲーム、そして子供じみた嫉妬で男達が窮地に追い込まれていく様は圧巻で、冒頭で暗示される終幕から走り去るリムジンが照らし出すその後の顛末が鉛のように重いです。
自国の歴史の暗部も容赦なく描写してのける韓流映画の奥深さには驚異しかないですが、おまけ程度にしか登場しないワシントンやパリのロケにも短編映画でも撮影するかのような人材を投入し、40年以上前の空気感を精緻に再現することにも一切妥協がない点も特筆すべきところ。キム部長を演じるイ・ビョンホンと大統領を演じるイ・ソンミンが見せる張りつめた神経戦は場内を凍りつかせるかのように冷たく、特にイ・ソンミンは『目撃者』や『工作 黒金星と呼ばれた男』とはまた全然異なる人物像を体現していて、その演技力の幅広さに戦慄しました。
感情を押し殺した男の爆発した時の凄み!
韓国大統領の右腕だった、中央情報部キム部長が大統領暗殺に至った史実を映画化したという本作。(本当に史実通りなのかはよく分からないけど…)
イ・ビョンホンの、極力感情を押し殺していた男が爆発した時の凄みや、革命の同志と高い志を忘れ権力に執着する「裸の王様」が、真の味方は誰か疑心暗鬼となっていく心情の変化などが上手く演出されていた。
もう少し、情報戦・心理戦の妙なんてのがあれば良かった気がするが、一応史実を基にという前提なので仕方ないか…
最期に彼が起こした革命は・・・
夢占いでは、片方の靴だけがなくなる夢をみたら、人間関係悪化の暗示だという。身近な人とトラブルがおこり、関係性が壊れてしまう恐れがある…韓国には同様の言い伝えがあるのだろうか?パク元部長もキム部長も靴を片方無くした後に……。二人とも閣下と革命の同志であったのが、何故あのような結末になったのか、真実はもはや誰にも分からないが、このような事件が事実であり、私がこの世に生を授かってから起こったことなのだと思うと身震いがした。
イビョンホンの演技力はやはり凄かった。閣下への信頼を失っていくに従って冷静沈着などちらかと言えば穏やかな目元が次第に狂気に満ちて瞳孔が開いていく様に戦慄が走った。髪型をやたら気にする仕草も好きだった。。。
暗殺に成功し南山まで走らせた車がUターンして軍部に向かう。引き返す決意をしたキム部長は、恐らくこのまま自分が助かって大統領になったとしても同じ道を辿ってしまうだろうと、自らの行く末を案じての、つまりは民主化を望む国民をまた裏切るような行為をしたくないという、最期の彼の革命だったのだと、信じたい。
映画鑑賞後、新大久保に寄って生マッコリとチルソンサイダーを購入し、マッソを飲みながら、「あの頃はよかったな・・・」「あの頃は良かったですね・・・」と日本語で盃を交わすシーンに想いを馳せた。
雑観
軍事政権が倒れても、また次も軍事政権が発足
今にも通じているのかもしれないが、権力者にまつわる闇の金
アタッシュケースにチラリと映った伊藤博文の千円札
伊藤博文を暗殺したテロリストの銅像がひび割れた
…
全体としては良くできた映画だと思う
韓国の歴史について予習してから見ましょう
パク大統領の右腕であるキムKCIA部長がパク大統領の暗殺に至る40日間を描く物語。
歴史が非常に苦手な私にとっては、前半はいまいち理解できず。韓国の近現代史や朴正煕暗殺事件についてざっと予習してから観るのがおすすめです。
一方、後半で一気に引き込まれました。パク大統領が汚れ仕事を「暗黙」の命令でやらせておいて、はしごを外してその責任は部下のせい。時に部下の機嫌をとることもある。そうして懐柔・突放しを繰り返した結果、愛想をつかされるという普遍的な組織の揉め事を描いていて、歴史関係なく人間ドラマとして楽しめる。殺す決意をしてからの怒涛の展開には熱くなった。
真剣に作りこんであるクオリティーの高い映画であることは確かです。
韓国映画でありながら、途中で寝てしまった。
前半が退屈。韓国映画でつまらないと初めて思った映画。観なくても良かった。最後の方で少しだけ挽回したが、いまいちどころか、いまさんぐらい。珍しく低評価の韓国映画です。
本能寺の変〜コリアンバージョン
歴代の大統領が不幸な末路をたどる不思議な国家の韓国。当時のパクチョンヒ大統領もKCIAのトップに殺害される。そのKCIAの部長をイ・ビョンホンが演じるのだが希代の二枚目スターが有田哲平にしか見えず集中力を欠いた。
一部側近にしか計画を知らせずたいした事後行動も考えずポスを殺害するところなど今旬ない麒麟が来るの明智光秀と類似します。しかし鉄砲の弾が切れたり、血で滑ってこけたり、KCIAのTOPにしてはずっこけです。
骨太だが淡々と抑揚にかける歴史群像劇でした。
良質の政治サスペンスです。
いやー、イ・ビョンホン健在。久しぶりに出演作観ましたが、良い俳優さんですね、やっぱり。
彼の心情滲み出る演技が本作全編に渡り緊迫感を生んでいました。
感想を書く前に多くのレビュアーさんに感謝です。
本作、事実を元にしたフィクションですが、
「え?それが?」
「えー?それもなの?」
って感じで、ストーリーの重要なエピソードがフィクションであるということを多くのレビューを読み知りました。今から40年前の韓国で、こんなドラマティックな事件があったなんて!と完全に信じ込んでいた私は自身の不勉強を心から恥じました。
なので、事前に今回の舞台となる「朴大統領暗殺事件」の概要と関係した方々の情報は事前に頭に入れておいた方がいいかな?って思いました。
それはさておき、さておきですよ。
上質な政治サスペンスです。主人公の私生活、いや登場人物の私生活など描写されず、事件前40日の出来事を関係者たちの行動、苦悩、戦略、考えの変化、変わらぬ大統領に集中し描いてるので常に「どうなる?どうなる」のハラハラ続きます。
フランスのあの場面はかなりの緊張感でした・・・そして「え!?」そーなの?の終わり方。いいです。
ノンフィクションだったら事実と異なるところが多いので、サスペンス感はなかったかもしれません。
また、大統領側近同士のマウントポジションの取り合いもなかなか良いですね。
それをサスペンスというかどうか?はさておきですが。
あとはラストですねー。
キム部長・・・本当のところはわからないけど、この作品では「私怨」で動いたように見えました。
「こんなに頑張ってるのに!お前はー!」みたいな。
冷静に事に及んでたのは彼の部下だけだった気がします。
無計画が半端ないのです。あと、あの動転具合。とてもじゃないけどこの先々を考えていた「革命家」には見えませんでした。・・・小物感をうまい具合に出していたかなー?って。
ま、フィクション面が多いので、きっとこれも脚色かなぁ?って思っちゃいますけど。
思うに、ここまでフィクションに振っているのであれば、(レビュアーさんの感想を読んだだけですが)ノンフィクションテイストの演出は削って欲しかったなぁと。
もっと外国との接点も描いて、国同士でのヒリヒリを描いても欲しかった。
それと、朴大統領が18年続けられた要因や、暗殺があったもまだしばらく軍事政権を続けざるを得なかった韓国の事情などにも踏み込んで欲しかったなぁ。
背景をもっと書き込んんでも良かったんじゃないかな?
だから中途半端なエンドロール間際の肉声と映像は不要だったのではないかな?って思います。
ほぼフィクションなのにこれを入れる理由は?なんだか、革命家気取りの元部長って見えちゃいます。お気の毒。恥の上塗りっぽくて。
うーん、演者も演出も映像もよかったから惜しい。
しかし、、、この密室政治、暴力(銃)でなんとかしようという政治の中枢の人々。あってはならんですね。政治とは呼べないですね。
なんでしょうねー、人間の考え方や性格のように、国の考え方などは早々変わらないと思っている僕は、ちょっと隣国の今を心配してしまいました。
ただ、ここまで描かせる懐の深さも同時に感じましたけどね。
お帰り、イ・ビョンホン様
一応、フィクションと謳ってるけど、まぁほぼ実話なのが恐ろしい韓国近代史。派手なシーンは無いけど異常な緊張感で物語は進んでいく。孤独な王としての閣下、その部下たち。悲劇的な終焉に向かって走り続ける男たち。イ・ビョンホンが抑制された演技で新しい一面を見せつけた、凄い✨
裏切り裏切る
わたしには少々難しいお話しで画面の暗さも緊張感を詰んできますが、スーツ、眼鏡、ぴっちり横分けの部長たちに70年代、ハートはがっちり鷲掴みにされました
イビョンホンは大雨の中、2階へ侵入するときでさえスーツです 服のダサさを指摘されていたクァクドウォンが一番スタイリッシュです、時代だね
今日からとうぶん七三眼鏡で生活しますよ
真実味を感じさせる演出が良かった
レビューの高評価だけで、予備知識無しに見てみました。
元々、歴史ものとか史実に基づく話も好きなので、近代の大河ドラマっぽくて興味深かったです。
イ・ビョンホンさんは、革命家でもあるでしょうが大統領の側近でもある少し官僚っぽい風貌の役づくりに徹して、自らの格好良さを封印し、七三分けのサラリーマン風の人物の見た目をきっちりこなし、役づくりが流石だと思いました。
以前、王様を演じた時の映画では衣装だけでなく、漂うオーラが本当に王に見えたのに、今回は「トップではない人物」を上手く演じていたと思います。
途中の日本語、わりと流ちょうだな、と思いました。
時代的に、黒電話でダイヤル回してたり、壁に聴診器的なのを当てて盗聴とか、そういう時代だったか〜と思い、
暗殺決行も、ドラマやよくある映画みたいにかっこ良くキメるのではなく、おそらく史実に基づいて?数発ですぐ拳銃が不調になるとか、トドメを刺しても部屋を出る時に別の人の血溜まりで足をすべらして転ぶとか、
興奮状態、カッコ悪い部分も見せ、おそらく現実もこの描写に近いものだったのだろうか、と思わせてくれました。イ・ビョンホンをカッコ悪く転ばせるなんて、「出来るだけ真実に近いものを再現させたい」、という制作陣の意気込みを感じました。
原稿を書いた方が拉致された時、袋の中からの景色は斬新な演出でした。拉致された本人の目線での描写はあまり見たことなかったので。
それと、上司は複数の部下に、信頼してるんだぞ、と思わせるためにおんなじ言葉で煽ってはいけないな、とつくづく感じました。
「あなたが俺を信頼してくれてると思った言葉、あいつにも言ってたのか!」ってそれはカチンとくるだろうな、と納得。
なかなか見ごたえのある作品でした。
大統領暗殺
腐敗してしまった大統領を辞任させようと努力するKCIAの諜報部長は、大統領を米国で告発した親友の前部長を暗殺して大統領を守ろうとするが、国民を鎮圧するために惨殺しようする大統領の暗殺を決意する。
決意までの葛藤が見どころ!
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