劇場公開日 2021年1月22日

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「2020年の韓国で興行収入1位、アカデミー賞選出作。1979年に韓国大統領が韓国のCIAに暗殺された実話がベース。」KCIA 南山の部長たち 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.02020年の韓国で興行収入1位、アカデミー賞選出作。1979年に韓国大統領が韓国のCIAに暗殺された実話がベース。

2021年1月22日
PCから投稿

まず、結論から言うと、本作の出来は良いです。実際に韓国で2020年の年間興行収入1位の大ヒットをしています! しかも「パラサイト 半地下の家族」に続いて、本年度のアカデミー賞で韓国代表作に選出されてもいます。
ただ、決して難解な内容ではないのですが、日本人が見ると、「少し難しい」と感じるのかもしれません。
それは、顔と名前と専門用語と場所が少しややこしいので、置いてけぼりにされるシーンも出てくると思われるからです。
まず、さすがにイ・ビョンホンは有名なので識別しやすいと思います。ただ、彼以外だと似た雰囲気の顔の人もいて、「…ん?」となるシーンもあると思います。
また、名前が、キム部長、パク大統領、パク元部長、クァク室長など、やはり韓国映画らしい名前が多く、登場人物も少なくないため、ややこしくなります。
さらには、タイトルの「KCIA」というのは、韓国のCIA(中央情報部)のことで、政治が舞台なので韓国の政治の専門用語も出てきます。

ただ、あえて言うと、細かいところは無視してもいいのかもしれません。
全体を見てみると、やっぱり面白いと感じられる作品だからです。
本作は、1979年10月26日に韓国の大統領が「KCIA」に暗殺された実話をベースに描かれています。フィクションの部分もありますが、史実を描いていて、ラストでは「実録映像」に変わります。
映画で描かれるのは、「暗殺事件発生の40日前」から「暗殺事件当日」までなので、案外、短い期間なのです。
しかも「韓国版のCIA」なので、韓国だけではなく、アメリカやフランスも舞台となっています。
さらには、意外なところで「日本語」で話し始めたり、「日本の週刊誌」が出てきたり、「日本のお札」が出てきたりもします。
ちなみに、副題の「南山の部長たち」というのは、「KCIAの歴代トップたち」という意味です。
「KCIA」という大統領直属の諜報機関は、大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っているため、「KCIAのトップ(部長)」は大統領の次に権力を持っている存在でした。
そして、「KCIA」は南山という場所にあったので、その「歴代の部長たち」は、場所に因んで「南山の部長たち」と呼ばれ恐れられていたのです。
本作では、アメリカの下院議会聴聞会で韓国大統領の腐敗を告発するパク元部長と、イ・ビョンホンが演じるキム部長の2人が登場します。

わずか40日間を描いた作品ですが、「今から約40年前の韓国って、こんな感じだったの?」と、いろんな面で発見や驚きがあると思います。
果たして「イアーゴ」は誰だったのか? これだけでも十分に面白いサスペンス映画です。
なお、評価は、知識の有無で平均3.5~4.5点くらいになると思うので中間の4点にしておきました。

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細野真宏