劇場公開日 2022年2月11日

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「恐怖と緊張の中にある日常」国境の夜想曲 mamiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0恐怖と緊張の中にある日常

2022年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

シリア、レバノン、イラク等の国境付近で3年間に渡り撮影されたドキュメントムービー。説明も語りも音楽も殆どなく、淡々と響く生活音や銃声。どうやって撮ったのかと驚くような美しい映像の中描かれる、緊張の中にも必ずある人々の生活の息吹。その緊張感がヒリヒリと伝わってきた。

息子が殺された牢獄の壁を撫でて、嘆き悲しむお母さん、ISの虐殺の場面を見てきた子どもたち、今もISに誘拐され戻れない女が密かに送ってくるメッセージを何度も聞くお母さん…日本では想像もつかないことが現実であるということ。

ただ、あまりに詩情豊かな美しい映像で説明などもないため、ドキュメントとしての「現実を伝える力」は弱まったように思える。彼らの恐怖はこんなものではないと思うし、ISの存在感も感じられず。唯一出てきた国名が「アメリカ」だけというのも偏っている気がした。

mami