劇場公開日 2020年7月10日

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「極上」二人ノ世界 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0極上

2020年7月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

全国で上映館は4館。
初めてのシアターにちょっと遠征しました。
京都芸術大学の学生さんが作った作品ですが、さすが日本シナリオ賞を取っただけのことはあり、監督と永瀬正敏の熱意が成功したいい日本映画でした。
首から下は麻痺している設定だが、永瀬正敏の体がしっかりしている点を除けば、痙性(全身痙攣)の場面も重要なハンディとしてうまく描かれており、良かったと思います。
ダブル主演の土居沙央里がなんと言っても印象深かった。すごいシーンも多々あり、きれいな涙に胸が熱くなりました。溢れる涙をすすってしまいたくなるほどの演技と描写には脱帽。プロポーションの良い後ろ姿を照明を効かせて撮った最後のシーンが眼に焼き付いています。添い寝するだけで、キスしないところが良かったです。究極の愛を訴えるものがありました。本当はこの設定の二人がもっとも感じあえるのは舌だけなんですけどね。
ウイスキーの空瓶と吸い殻の山の部屋の冒頭のシーンでは盲目とは思えなかったが、そんな設定にも興味を強くそそられ、薄幸の女性に異性ながらも充分感情移入できて、良かったです。
新しい母親はママで、産みの母親はお母ちゃんですか。まだ、よくわからないであろう男の子のセリフにも感心しました。
崖っぷちの二人の気持ちが徐々に近づいてゆくさまがとても良かった。
「現実って何?」っていう彼女のセリフが刺さりました。「当たり前の人生がなにさ、あんたにゃわかるまい」と言わんばかりに迫って来ました。
京都の町を背景に日本画家の家をめぐる設定にも日本映画の粋を感じられましたが、永瀬正敏が無理に京都弁を使わないのも良かったと思います。
キャストも非常に良かったと思いました。父親役がとくに良かった。親友役も良かった。従姉役も憎まれ役としてグッド。いずれも味がありました。勝谷誠彦がちょっとインチキくさい医者役で出ていましたが、撮影後、公開待たずして亡くなったので、そこは残念。
車イスや脊髄損傷の映画は多々あれど、特別な極上の映画だと思います。
上映館増えて欲しいです。

カールⅢ世
NOBUさんのコメント
2021年1月24日

今晩は
 私の勤務先の直ぐ傍のこのミニシアターは、セカンド、もしくはサード上映で渋い映画を掛けてくれるのです。
 昨日の様に、急な会議が会った際には実に有難い映画館なんです。
 ちなみに3が付く日は全作、1000円です。
 では、又。

NOBU