劇場公開日 2022年2月25日

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「母なる地球を旅立ち、月(女性)を目指す」GAGARINE ガガーリン バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5母なる地球を旅立ち、月(女性)を目指す

2022年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

相変わらずの無情報で鑑賞しています。見終わってから色々と記事やらを読むと「あぁ、なるほどなぁ」が多かったですね。作品舞台となっているガガーリン団地は公営住宅。場所は大都市郊外(バンリュー)です。そしてここは移民が多く貧しい公営住宅地帯のようで、フランスにおいては問題となる郊外だそうです。そこに生きている厳しい境遇の人々(若者)を描いた作品です。
かといって、何か社会的な物語というわけではなく、ある少年の成長物語(寓話と言ってもいいのかなぁ?)・・・なぁんて思いました。

どうしてガガーリン?って思ってました。ただの団地の名前?ただの宇宙好きの少年が主人公だから?むむむーーーーって考えていましたが、「あぁ」って膝を叩きました。そか!月って女性の象徴って話を聞いたことがあります。そか!彼女は月か!少年にとっての団地は地球、不安で一人きり彷徨う彼自身ははまさ宇宙船?そしてそして準備して準備して・・・・はっはーーーん、そか!少年の巣立ちと成長のメタファーとしてのアポロ計画であり、いろんな象徴としてのガガーリン。なるほどなるほどーーーー!

・・・と勝手に解釈して腑に落ちました。

観賞後、なんだかなぁ・・・なんて思ってて、イマイチ感たっぷりだったのです、正直。チンプンカンプンやないかーーーーい!って腐っていたのですが、このメタファーに気付いた(何度も言いますが個人的見解です)時にぐんぐんと評価が上がっていきました。そして、「あぁ、あれはそういう意味か」、「なるほど!あのラストはそーいうことか!」と。なんだよー、とってもうまく見せてくれてるじゃんかよー。彼女とのやりとりもなかなかのコスミック演出。そして、社会情勢も散りばめさせて・・・あれれー良い作品じゃないですかっ!ようやくラストの展開と彼の表情が理解できた気がします。宇宙はこれっぽちも出てこないのに、妙にSF感がありました。これまた見事ではないでしょうか?

バリカタ