劇場公開日 2021年4月9日

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「製作者が対象に溶け込んだ功績」ハウス・イン・ザ・フィールズ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0製作者が対象に溶け込んだ功績

2021年4月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

監督が5年生活を共にして収めた映像作品。
純粋なルポルタージュではないと監督もいっているとおりに、記録映画としてのみでなく、適度な演出を散りばめ一つの家族、一つの姉妹の事実やイベントを通して、民族の過去、今、未来を描いてます。

ストーリーは作り物ではないです。
演出のためのカットはあります。
ですが、それは素人が演じてるのではなく、ただカメラの前でも真っ直ぐな等身大のホントの気持ちを言葉にできるようになっているにすぎません。
5年間(監督インタビューでは7年と書いてあったけど)に築いたであろう人間関係、信頼関係がもたらした結果でしょう。あっぱれです。
日常の一コマを映像作品として昇華させたと言ってよいでしょう。

今年観た「ミッドナイト・ファミリー」も似たようなアプローチでした。ドキュメントの対象者にどれだけ素になってもらえるか?が重要ですね。
密着ドキュメントと生活を共にした仲間とでは、見せる表情も言葉も変わるのでしょう。

初めてみる文字、初めてみる慣習。文化。
どれも驚きとともに興味深く観ました。
クライマックスの変わらぬ儀式に民族の奥深さを、妹の悩みや発言に時代を感じます。

エンタメを期待せずに、綺麗な面白い記録映画としてよく出来ているのではないでしょうか?

良作です。

バリカタ