劇場公開日 2021年10月8日

「文化庁映画創造活動支援事業作品、であるが故?」神在月のこども Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0文化庁映画創造活動支援事業作品、であるが故?

2021年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

幸せ

この作品全体に言えるのは、新米監督らの経験不足に起因する仕上がりなのが否めない事。まァ初監督作品とのことでさもありなんですが、ここにコミュニケーション監督と言う聞き慣れない役職があります。チョッと上っ面だけ調べたら、四戸俊成なる人物『コミュニケーションデザイナー』とのことでナルホドと思いました。
当該人物は原作者でもありますが、そのコミュニケーションデザインが当作品の下支えには貢献してるっぽくても、然程クオリティ向上には寄与してない様子。と言うのも、ソレとアニメという創造された社会や人間関係とは「≒」があるかも知れないけど「=」では決してないと考えるからです。妙に設計臭『おあつらえしました感』みたいなモノが出てしまい、どうにもスンナリ受け入れにくい雰囲気に‥‥

デザインという、結果を導き出す意図を秘めた設計は、100%人々の心情に共鳴する訳ではないのはお解り頂けるかと思います。物語の創造上発生する展開や掛合いではなく、あぁ言えばこう言うの学術的理論から導き出されたストーリー?
そんなセオリーに沿った感のある展開・掛合いは、あまり柔軟性を感じられず不自然さも散見、極端に言えば『やらされてる』感すらにじむ程に裏目に出ている箇所も幾つか。
創作物語なんてそうなりがちだから、そんな臭みや灰汁の様な成分を極力取り除くべきですが、あまり巧く行ってない感じ。その原因の一端に、メインキャストに素人声優の起用もあるのでは?
ただ今作は『棒』は辛うじて抑え気味だったものの、作品の序盤はソレが目立ち、進行するに従って熟れて来た様に見えました。この様な大人の事情が足を引っ張るのは茶飯事なので諦める他ありません。
昨今の劇場版アニメのビジュアルに比べて、当作品はチャチな感じは否めません。が、ソレはあまりマイナスではないものの、足を引っ張る要素が絡んでしまうと気になってしまいます。

良かったのは題材(ネタ)。惜しむらくはNHK大河ドラマのソレ放送に近ければ良かったかも?ですが、おかげで鑑賞客に前知識が備わってて理解しやすかった事でしょう。念の為『韋駄天』そのものの解説はあっても良かったかなと。
あと折角『ご馳走』話があるなら、日本各地の郷土料理や食材などをシッカリ描写すれば地域振興にも寄与するかな?(尺が足らんと言われそう)
上記でマイナスの部分は裏返せば、お話がシンプルで就学児童からアニメに関心がない若年層には解りやすい内容だと言えるかも知れません(文化庁が助成・推奨してるので)。その反面アニヲタ向けではありません。

そんな訳で、観る人を選ぶ、比較的若年層をターゲットにした文化的作品であります。

Geso_de_Nyoro