劇場公開日 2020年6月27日

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「全てが大好きな映画」東京の恋人 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0全てが大好きな映画

2020年7月8日
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鑑賞方法:映画館

主演の森岡龍以外、監督もキャストも音楽も何も知らなかったけど、ポスターと予告編とそこで流れてた音楽にやられてしまったので衝動で観に行きました。衝動買いほど自分の欲望に真っ直ぐで自分の希望に正直なものはないのと同様、衝動鑑賞した映画ほど当たり率が高いもんはないね…って普段から思うけど、その通りで最高に良かった。めちゃくちゃ良作。良い意味でトラウマになる、一生心にこびりついて離れない系映画だった。
大学時代仲間と映画を撮りその道に進もうと思ってたけれど結局あきらめてその後結婚して北関東に移り住んで嫁さんの実家に就職した男が、ふと東京での大学時代に付き合ってた元カノからの懐かしい連絡で土日にふらっと東京へ行く話。
映画は映画として主人公に乗り移って楽しめるタイプの人もいれば、自分の経験値で理解・共感出来る範囲でストーリーを楽しめるタイプの人もいるとおもうから見た人全てが心にグッとくるかは分からないけど、私は酒飲んだ翌朝のしじみ汁レベルで五臓六腑に染み渡ったよ。
もうこの映画…なんなんだろ、まぁ予告見た人は分かると思うけど、まずノスタルジー感が半端ないんだよなぁ。東京60WATTSの音楽と一緒に作った(スポッティッドプロダクションが毎年やってる映画祭自体が、音楽×映画の作品がテーマで、そこで作られたのが今作)映画って時点で…。東京60WATTSの音楽を見事に映画作品にしてるし、かといってただのオシャレぶった半端なノスタルジーじゃなくて、完璧なんよなぁ。完璧過ぎない感じも、また完璧で笑。
褒めるところが多過ぎて、というか褒めるところしかなくて、どこを褒めて良いのかもう分からん笑。
まず面白い映画の定義その1の、開始30秒で漂わす「あコレ当たりやな」の空気感があった。森岡龍が本当に普通、めちゃくちゃ良い意味でとても普通な感じで…昔の女に会いに行く約束をして会いにいく始まり。
大衆映画寄り特有の、人生で一番愛していた女との運命の再会…!!涙無しでは見れない!!甘く時に淫靡な匂いも漂う!!乞うご期待!!感ではなく、あっさりサッパリ、格好つけず当時の2人の素朴でナチュラルな連絡の取り合い、再会、会話…。でもそうであればある程この手の作品はグッとくる。なんだろ、こういう経験があっても無くても観客にグッとこさせる脚本や監督の力、キャストやスタッフの力。まじ凄いよ…。
主人公立夫を演じる森岡龍。青春時代に捨てた映画の夢や大好きな彼女などの未練の残る過去はありつつ、今は今で堅気の職に就き生きている。妻、元カノ、スナックの女、妹、どの女性とどんなシーンで話す時も割とあっさりひょうひょうとしていて、がつがつしてないこの感じは自然と女の人が寄ってくるタイプの男性だなあと感じさせ、その男を演じる森岡龍の演技力…元々演技力ある俳優さんだけど、主役を演る事でかなり光ってて良かった。
立夫の元カノ満里奈を演じる川上奈々美。現役セクシー女優。その情報しか知らなかったけれど、予告編見た時点で「声とか喋り方に宿るノスタルジー感とかわいらしさと色気…!!」一気に惹きつけられた。し、実際の本編でそれだけじゃなくて満里奈の人柄が現れるようなサバサバした部分や一緒に居て楽しそうな子だな、って感じが可愛さや色っぽさだけじゃなく更に魅力が爆発していて、すぐ虜になった。雰囲気もそうだし、唇とえくぼも最高に可愛くてえろさもあってめちゃくちゃ良かったなぁ。立夫の前に現れてからずっと笑顔だったけどあるシーンで見せる顔にもハッとしたし、一気に満里奈の感情が入り込んできて胸が苦しくなったよ。
この2人以外の登場人物も、書いてるときりないけど皆すごく良かった。
学生時代の2人のシーンや、昔の満里奈の映像のシーンも、流れてる音楽を体現してるし、この映画の好きなシーンベスト5に入るなぁと思った。いや、好きなシーンが尋常じゃない数あるから5に入り切るか分かんないけど笑。
オープニングの入り方からエンディング、エンドロールまで文句無しに大好きだった。「東京の恋人」というタイトルも、英題の「Modern Lovers」も好き。
自分は何も関わってないし作れもしないけれど、良い映画は観ただけで心が豊かになる感じもして良いですね…。
というかそんな事が言いたいんじゃなくて、めちゃくちゃ面白い最高作品でした◎宝物映画!

まつこ