劇場公開日 2021年8月27日

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「話は良くなったが、持ち味はかなり薄れた」スペース・プレイヤーズ mokusin takataniさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0話は良くなったが、持ち味はかなり薄れた

2021年12月10日
PCから投稿

1996年に公開された実写&アニメ融合コメディ映画『スペースジャム』にまさかの
続編登場。前作は有名なバスケット選手を主役にし、ワーナー作品の
カートゥーンキャラとの掛け合いと実写世界にアニメ絵を落とし込む職人芸の
ような技術は楽しめたのだが話自体は微妙な印象。
主役が話に介入する必要性があまりないのとカートゥーン風コメディが何度も
繰り返されて胃もたれ気味になり、そもそもの事の始まりがしょうもなかったのを
覚えてる。

本作も一作目と全く同じ構成で、映像技術だけ上がって話は焼き増しかなと
思っていたが、幸いな事に物語の面白さは前作よりちゃんと向上していた、主役が
話に介入する理由も自然で、幼少期の暗い記憶で堅物化した頑固な性格が
払拭していく様も良く、敵のドン・チードルのハイテンションぶりも面白い。しかも
カートゥンキャラに哀愁を感じさせる搦め手まで追加され仲間が離れ離れになる
経緯をバニーが語るシーンは思わず深刻に受け取ってしまった---
ただものの数分で全員集合するあたり流石カートゥンコメディ。

昨今のポリコレ事情に合わせてバニーの彼女がそのポジションを担っていたが
元々から出来る子だったので違和感はない。彼女が更に強くなったのは
特別出演したワンダーウーマンの下で鍛えたからなのだが、こういう理由ある
コラボは好き、客寄せパンダは馬鹿にされているようで好きではない。

しかし話の品質は確かに向上しているが、それは鑑賞に堪える状態になっただけ
で映画の出来は凡庸。また、実写にアニメ絵を融合した職人的映像を楽しみに
鑑賞したものの、やはりこの映像手法は労力が大変なのか、アニメ世界に
実写キャラが入ればアニメ絵にされ、実写世界にアニメキャラが来れば
フル3DCG化されていた、姿そのままにやり取りをするシーンは殆どなく
やってる事は『魔法にかけられて』と大差ない。結局見たかった映像は
ラストシーン位なもので、映像面の面白さは寧ろ前作の方が上だったと思う。
似た作品でなら『名探偵ピカチュウ』や『レディープレイヤーワン』があり、技術は
同じでも話はこれらの方がずっと面白い。前作は映像で楽しめても内容が
なさ過ぎたので評価2.5とすると本作は内容が改善された代わり映像面で
普通になったので評価は3。

1988年に公開されて以降実写とアニメ融合作品では
不動のトップに居続ける『ロジャー・ラビット』の凄さを改めて痛感。

木神