劇場公開日 2020年6月26日

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「☆☆☆★★★ 『イン・トゥ・ザ・スカイ』の監督が、その前作に撮った...」ワイルド・ローズ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5☆☆☆★★★ 『イン・トゥ・ザ・スカイ』の監督が、その前作に撮った...

2024年3月9日
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☆☆☆★★★

『イン・トゥ・ザ・スカイ』の監督が、その前作に撮った音楽映画。
主演はこの後、『ジュディ 虹の彼方に』で、印象的な演技を見せたジェシー・バックリー(公式サイトではバックリーなので)だけに、観る前から期待感が膨らむ。

観客7名。簡単に。

(本人曰く)イギリスで、男なのに女に生まれたカントリー歌手。

好きな道を突き進むローズ。その為に周りに迷惑をかける日々だが、元から「パン屋で20年働くのは自分には無理だ!」…と、意に返さない。
そんな彼女を、多くの人が支援するも。母親だけはその姿を良しとしない。
何よりも、自分の子供をないがしろにしている事が許せない。

映画は序盤から、ローズ目線で進んで行くだけに。この母親との、根深い確執が少しずつ炙り出されて行く。

ただ好きなだけ。実力は有っても、歌い手がオーディエンスに対して、自分自身を曝け出し。《何を伝えたいのか?》が、はっきりと歌声に現れなければ。人々の心の隙間には入り込めず、〝 単なる歌の上手い人 〟 にしかすぎない。
それを初めて意識するのが、ある有名なDJに言われた「伝えたいメッセージは何だい?」との問いかけ。

その言葉が有り。更には、スザンヌの夫に言われあた一言で。今の自分の置かれた立場と共に、しっかりと、母親との確執と。幼い2人の子供との関係を見つめ直すローズ。

それまでの展開で、まるで『ジュディ 虹の彼方に』でのジュディの姿を想起させるローズの描かれ方で。その後のジェシー・バックリーの活躍を、予見している様でも有りました。

「責任は持って欲しかったけれど、希望は捨てて欲しくなかった!」

やっと母親との確執も和解し、今こそ自分の在るべき姿を探しに、憧れの地へ降り立つローズ。
あまりにも出来過ぎの展開…と思わせながら、映画は別の展開へ。

♬ どこより故郷が一番 ♬

♬ どこよりここが一番 ♬

♬ 靴の踵を3回鳴らそう ♬

最後も『オズの魔法使』を表す歌で締め、不思議な感覚を感じつつも。素敵なジェシー・バックリーの笑顔で、幸せな気持ちにさせてくれる良作でした。

2020年 6月28日 角川シネマ有楽町

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松井の天井直撃ホームラン