劇場公開日 2020年3月28日

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「空から色んなモノが降ってくる・・・」ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0空から色んなモノが降ってくる・・・

2020年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 沖縄の言葉、ウチナーグチには「悲しい」という言葉はない。誰かの心の痛みを自分の悲しみとして一緒に胸を痛める「ちむぐりさ」という言葉がある・・・

 石川県珠洲市から沖縄のフリースクール「珊瑚舎スコーレ」へ単身やってきた15歳の坂本菜の花さん。家族は好きな道を行けばよいと言ってくれたので、大好きな沖縄への進学を決めたのだった。一つのビルの中に中高生もいるが、夜間中学に通うお年寄りの姿もあるというユニークな学校。そこで人々と心通わせ、戦争体験、米軍基地の問題などさまざまな見聞を重ねていく。

 ヘリ墜落、またヘリ墜落、そして女性暴行殺害事件・・・日米地位協定によって守られる米軍。署名を集め、政府に要望書を提出しても何の返答もない。「日本はアメリカの植民地」という海人の言葉が重く響いてくる。泣き出す菜の花さん。「綺麗な海見て、何で泣くか」の言葉につられて涙。また何度も聴ける「悲しくてやりきれない」のメロディがまた沖縄県民の心なんだと、聴覚にも訴えてくるのです。

 中学を卒業して、一人で沖縄行きを決めた彼女。そんなこと常人にはできない。「おじぃ、なんでそんなに明るいの?」といった小さな疑問から大きな社会問題まで取り上げるのですが、本土ではちょっとニュースに流れて、しばらくすると忘れられるという現実。沖縄が差別されている!1945年の沖縄戦でも大本営からは「捨て石」とされた沖縄。1972年に本土復帰を果たしたものの逆に沖縄に米軍基地が増えてしまっていたことについて、石川県の内灘闘争の勝利などによって基地が沖縄に集中した事実についても、石川県人として申し訳ない気持ちになるという優しい子なのだ。

 驚いたのは菜の花さんの実家が旅館だということでした。あ、行ったことあるかも!30年ほど前に松茸づくしの昼のコースを堪能させていただきました。また行きたいなぁ・・・

kossy