劇場公開日 2021年2月11日

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「俗っぽい人々と山水画の美景が対照的」春江水暖 しゅんこうすいだん kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0俗っぽい人々と山水画の美景が対照的

2021年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

絶対に行かない、行けない場所の人々の生活を生々しく描いてくれる、映画っていいなあと思わせてくれる一編だった。
高齢者問題、医療・福祉問題、貧困/成金紙一重問題、世代間の埋めようのない価値観の確執問題、それぞれの問題に「中国ならではの事情」が掛け合わされていて興味深かった。
ダウン症の少年トントンの奏でるモダンジャズみたいなハーモニカの音色と、急速な開発が進んでも変わりようのない山水画の世界ー湖・山・木々の静止画のようなカットーが清涼剤として機能していて、長編映画に厚みを与えてくれていた。
親(特に母親)の反対を押し切って娘・グーシーが選んだジャン先生はとても素敵。一人っ子政策の下に生まれた子たちは、親世代の俗っぽい重圧(彼らの気持ちもわからないではないけど)に屈することなく、自分で自分の人生を決めていってほしいと思った。
余談だけど、中国の地方の人たちって喫煙率あんなに高いのかなあ。日本たばこ株式会社にとってはいい顧客なんだろうなあ、と俗っぽい考えが頭を過ってしまった。

Kumiko21