劇場公開日 2020年6月5日

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「やや過剰」未成年 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0やや過剰

2020年8月20日
PCから投稿

しばしば見る俳優だがナホンジン監督のチェイサーの印象が濃い。

俳優が監督に回る──きょうびこの現象には期待がある。
とりわけハリウッドのスターはいい映画をつくる。クリントイーストウッド、ポールニューマン、ウォーレンベイティ、ロバートレッドフォード、ベンアフレック、ジョージクルーニー、ショーンペン、ベンスティラー・・・。
さいきん見たのではポールダノのワイルドライフ(2018)、ジョエルエドガートンのBoy Erased(2018)に感心した。
グレタガーウィグとナーディーンラバキはいうまでもない。

韓国の中堅俳優が撮ったこれも、やはりしっかりした映画だった。
ただ産前産後の躁鬱がけっこう派手に描写されている。
自棄的なふるまいの根拠がよくわからなかった。

また、こうした夫婦間ドラマでは、親たちより、その子供のほうがずっと聡明で強いのが定型だが、このふたりは、強すぎる。
嬰児の死を信じない描写はやや鈍くさい。もっとあっさり描いたほうがスマートだと思えるところが幾つかあった。

しかし初監督としてみると、すでに落ち着いたカメラ回しで、兼業を感じない。
自身がダメ人間を演じていることにも賢明さを感じた。

俳優が監督に回る──この転身に懐疑と不安をおぼえるのは、そこが日本のばあいだけ──である。

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津次郎