劇場公開日 2021年1月16日

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「【”俺が警察に入った頃は、麻薬中毒者は100万人だった。それが、今では650万人だぞ・・”と刑事は吐き捨てた。エンタメ社会派作品として見応え充分な、哀しきノンストップサスペンス映画。】」ジャスト6.5 闘いの証 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”俺が警察に入った頃は、麻薬中毒者は100万人だった。それが、今では650万人だぞ・・”と刑事は吐き捨てた。エンタメ社会派作品として見応え充分な、哀しきノンストップサスペンス映画。】

2021年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

難しい

ー 先鋭的な登山をしていた頃、カトマンズの街中を歩いていると、”ハシシ要らないかい?”と頻繁に声を掛けられた。鬼の様な諸先輩方からは、”ハッパは良いが(良くない!)、コカイン、ヘロイン、LSDには、絶対に手を出すな!とキツク言われていた・・。ー

■感想<Caution! 内容に触れています。>

・冒頭から、若き薬物容疑者と、彼を追いかける刑事のイランの街中を疾走する姿に引きつけられる。その若者が網を飛び越え、逃げ切った・・、と思ったらそこは工事用に掘られた深い穴で、ショベルカーにより大量の土砂が穴に投入される・・。
ー イントロダクションから、今作を暗喩するような見事なシーンに、魅入られる。ー

・土管の中で寝泊まりするホームレスを一斉検挙するシーン。わらわらと逃げ出すホームレスや薬物依存者達の姿。
ー 一度、薬物依存になってしまうと、食事、塒よりも薬物に全ての金をつぎ込む事は周知の事実である。ー

・サマド刑事(ぺイマン・モアディ)達の薬物斡旋容疑者達を追及する、容疑者達の人権などないかのような、過酷な取り調べシーンも凄い。そして、次から次へと警察内に送り込まれる容疑者達。かなり広い獄内も、立錐の余地もない。
 サマドは、日本で薬物を捌くために、身体中に薬物を入れた末端の薬物斡旋者とその協力者を飛び立つ直前に摘発し、その男からナセル・ハグザド(ナヴィド・モハマドザデー)の住所を聞き出す・・。
ー ここまでのスピード感や、サマド達の手荒い捜査方法や、薬物斡旋者達との駆け引きに一気に引きつけられる。ー

・ナセルの瀟洒なペントハウスに踏み込む武装したサマド達。緊迫感が半端ない・・、がナセルは自殺を図っていた・・。
ー この辺りから、物語は少し迷走する・・。サマドの同僚刑事の子供が誘拐され、殺された事件を、収監されたナセルに被せようとしたり、ナセルが刑務所から出るために、更に大物と思われる男に金を無心したり・・。ー

・ナセルとサマドの駆け引き。ナセルは、サマドを金で買収しようとし、サマドも提示金額から上積みさせ、更に仲間の刑事にも同額を支払え・・と、了承するが・・。

・ナセルの言葉。
 ”俺は死刑になっても構わないが、俺の両親が住んでいる家や、カナダに留学させて居る甥や姪は見逃してくれ・・。あの狭い路地の家に又、両親を戻すのは止めてくれ!”
ー 同情する気は無いのだが、涙の抗議をするナセルの姿や涙する母親の姿や、一生懸命側転を見せる少年の姿を見ると・・。貧困から脱するために悪の道に走り、一時的に成金になった哀しき男の姿。ー

<サマド刑事が内勤になったと知った同僚の刑事にサマドが空しい表情で言った言葉。
 ”俺が警察に入った頃は、麻薬中毒者は100万人だった・・。それが、今では650万人だぞ・・”
 10年もの間、身を呈して日夜奔走して麻薬売人を逮捕しても、増え続ける麻薬中毒者・・。
 何とも苦い結末であるが、今作の映画の完成度は非常に高いと思うのである。>

<2021年4月11日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU
bloodtrailさんのコメント
2021年4月27日

NOBUさんへ
延期なんですね、やっぱり。配信漬けの生活も一興ですが、ここは自虐的出勤&自宅のメンテ、及びリピート鑑賞生活で。午前十時のティファニーは演って欲しいですw

bloodtrail
bloodtrailさんのコメント
2021年4月26日

NOBUさんへ
この連休、映画館が自粛になったら仕事します。マジですw
真面目に、広島でも明日のオンライン予約が止められてる状態です。連休の新作も限られた本数になるのは確実ですが、ミニシアターには、開いてる限り、通い詰める事にしましたw

bloodtrail