劇場公開日 2020年12月4日

  • 予告編を見る

「【”大丈夫、私たちは正しい・・” 各々の行動理由と論理の齟齬が、引き起こしてしまった事をシュールで、ブラック且つアイロニカルな視点で描いた作品。】」ミセス・ノイズィ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”大丈夫、私たちは正しい・・” 各々の行動理由と論理の齟齬が、引き起こしてしまった事をシュールで、ブラック且つアイロニカルな視点で描いた作品。】

2020年12月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

ー朝、六時前から布団叩きを臨家で、バンバンやられては、ちょっと嫌だな・・。しかもあの”親の仇を叩くような鬼気迫る表情でやられたら・・。-

 ◆一作目は新人賞を獲ったが、その後の持ち込み作品では”人物造形が浅い・・”と編集者から言われ続け、泣かず飛ばずの小説家、真紀(篠原ゆき子)が心機一転、引っ越ししたマンション(アパートかな?)の隣の部屋には、早朝から布団を激しく叩くおばさん、美和子(大高洋子:映画では、初めお目にかかった・・)が住んでいた。
ー 内心、”布団叩きのおばさんを、洞口依子さんが演じていたら、どうしよう・・”
  と思っていた。大高さん、すいません・・。ー

■感想<Caution! 内容に触れています。>

 1.序盤は、美和子さんの言動、行動に少し苛苛する。
 布団叩きもさりとて、お地蔵さんへのお供え物は”頂戴”するし、
 真紀の娘、奈子(新津ちせ:出演作については、お父さんがキビシク、選択しているのかな・・。まさか、ちせさんが自ら、脚本を読み込んで”うん、良し!”とか言っていたら、凄いなあ・・、とか、おバカなことを考えながら鑑賞。)
 を自室に”連れ込んで”日が暮れるまで、”預かって”いるし・・。
  けれど、この序盤の ”苛苛した幾つかの場面” での、美和子さんの行動理由が、中盤から後半で明かされていく作品構成の妙に、唸る。

 2.そもそも、あれ位の歳の子供は、危機管理能力が高くて、”ニコニコ笑っていても、嫌な雰囲気を纏わせている大人には決して自ら近付かない”という事は、私の子供たちの幼き頃を観ているから分かる。
 奈子ちゃんが、美和子さんと、”哀しき過去の出来事が原因で”心を病んでいる旦那さんと楽しそうに遊んでいる姿、笑顔から、
 ”ああ、美和子さんたちは一見すると、近づいてはいけない人に見えるが、心優しき人たちなんだなあ・・”と、推察。
 - 脚本、上手いけれど、ちょっとずるいぞ! 後出しジャンケンみたいではないか・・。(褒めてます。)-

 3.真紀が、「ミセス・ノイズィ」を書き始め、評判を取り戻して行く過程で、(若手編集者の掌返しの、薄っぺらい態度・・) 愚かしき真紀の従兄弟が通うキャバクラの”真紀の一作目は評価しているが、それ以降は良くない!”ときっぱり言い切っているお姉さんの「ミセス・ノイズィ」に対する厳しき審美眼に”素晴らしい・・”と思ったよ。
 彼女の言葉は・・、現代の風潮をバッサリ、一刀両断である。
 - あの方は、キャバクラと掛け持ちで、書評家、コメンテイターもやられては如何だろうか・・。その姿と対比するかのような、真紀の従兄弟の”額に汗せず、楽して稼ごう”という薄っぺらい生き方。 -

 4.美和子さんの旦那さんが、マンションから飛び降りた事で世間の目は、今までとは一転して、真紀に対してのバッシングに切り替わって行く。
 - 愚かしき報道陣、野次馬の姿・・。真紀が奈子ちゃんと共に、報道陣に取り囲まれ、フラッシュやTVカメラを向けられた時に
”救世主のように現れた”
愚かしき報道陣、野次馬達への、美和子さんの一喝!
 スカッとしたなあ・・。
 ”大丈夫、私たちは正しい・・”と言い続け、苦しくとも正道(除く:早朝の布団叩き・・)を歩んできた人だから言えることであろう。
 中々、言えないよ、あの言葉は。
 事の渦中にあるのに、そして相手は真紀なのに・・。
 奈子ちゃんを守ろうとしたんだね。
 ジーンと来た場面である。
 そして、自らの哀しき過去を振り返り、真紀をも、叱る正しき年長者としての姿。ー

<世間は、誤解、中傷、悪意で満ちている・・。
 その風潮の中で起こった”悲喜劇”をコミカル要素をほんの少し塗しながら、アイロニカルな視点で描いた作品。>

 ■補足
 1.(小声で)新津ちせさんの演技が一番良かったなどとは、口が裂けても言えないから、書いちゃうよ。

 2.今作の良さを引き出した大きな要因は、大高洋子さんの”怪演:ちょっと、素人っぽい・・”によると思うなあ・・。

<2020年12月9日 劇場にて鑑賞>

NOBU
pipiさんのコメント
2021年6月26日

自分のレビュー、再読して気付く。
私、本作でも編集の削ぎ落としについて触れてましたね。
そう!ディズニーではまだ絵コンテ段階ですらわざわざボイス録音までしてガシガシに削ってるってのに、実写話ネタのアニメ作品がそれをご大層に語るのはまったくもって興醒めです。
映画をあまり観ない人達が感動してくれるならばわかるけど、反応している層が違うようでなんだかモヤモヤです。
「映画好きであればある程、刺さらない」作品だと思うのだけどなぁ。

すみません。愚痴でした。
ついでにファブル続編も、多くのご意見と感想違いました〜。
あぁ、募るモヤモヤ(苦笑)

NOBUさんのレビューを拝読しては、感性の近さにホッと安堵するこの頃です。
いつもありがとうございます^ ^

pipi
pipiさんのコメント
2021年6月26日

あら、奇遇♪

ちょうど私も、昨日そのヒューマノイド、見ましたよ。
紫の薔薇と一緒に。
後ほど、レビューUPしますね^ ^

pipi