劇場公開日 2019年11月8日

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「予告編も解説も見てはいけない」夕陽のあと Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0予告編も解説も見てはいけない

2019年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何の映画かさえ、知らずに観たのは大正解だった。
解説や予告編でネタバレしているのは信じがたい。

「起承転結」という言葉があるが、本作品は「起“転”“承”結」だ。
1/3も過ぎた頃に、茜(あかね)以外のすべての登場人物が、「えっ!?」となるのだが、観客も同時に「えっ!?」となるところに、醍醐味があるのではないだろうか?
「えっ!?」となった「転」の時点から、真のストーリーが動き出す。

133分という長尺で、「親権」という、ただ一つのテーマを、じっくりと追っていく映画だ。
残念だったのは、効果的に使われていた「おもちゃの携帯電話」以外では、台詞で多くを語らせてしまったことだ。
説明的で分かりやすい反面、流れが単調だし、観客をスクリーンに没入させる仕掛けに乏しい。(とはいえ、夕陽はラストシーンだけに取っておくべきだった。)

色彩は独特だった。
漁師町の生臭さを消すためか、“藍色のフィルター”をかけたような映像になっている。
前半は、明暗のコントラストが非常に強い。回想シーンでは、(お約束の)セピア色っぽくなる。そして、普通の感じになってエンディングとなる。

実際は、この映画のように簡単にはいかないだろう。
茜(あかね)のキャラクターも真面目すぎて、このような事件を起こす女性の典型的な姿とは思えない。
ただ、「子供にとって良いこと」が一番大事なのだ、というメッセージは伝わった。

Imperator