劇場公開日 2020年2月28日

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「おもしろくて、明日の職場が怖くなる!」架空OL日記 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0おもしろくて、明日の職場が怖くなる!

2020年3月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単純

劇場で観るほどのものではないかなと思いつつ、ちょっと気になっていたので、遅ればせながら鑑賞してきました。リアルなOLの世界が垣間見えたようで、なかなかおもしろかったです。

事前情報でわかってはいましたが、冒頭からバカリズムワールド全開でした。バカリズムさん演じるOLが、朝の身支度を淡々と整えていく姿は、一見シュールではあるものの、そこに添えられるモノローグが絶妙で、じわじわと作品世界に引き込まれます。その後の夏帆さんとの会話もテンポがよく、二人の関係性も垣間見え、もはやバカリズムさんの性別が気にならなくなっていたのは不思議です。

こんな調子で、最初から最後まで、OLの日常が淡々と語られます。しかも、そこには大した事件も起きません。ひたすら平凡な日常が描かれるだけです。それなのに、それがおもしろいのです。大笑いするほどではないですが、もうずっとニヤニヤしっぱなしでした。テンポとセンスのいい会話に加えて、モノローグとして流れるバカリズムさんのツッコミが秀逸で、最後までまったく飽きませんでした。

演じる女優陣も、どこの職場にもいそうなキャラ立ちしたOLを、自然体で楽しんで演じている感じが、見ていて心地よかったです。バカリズムさんが、台本にないアドリブを巧みに仕掛けまくっているのではないかと感じました。そこから引き出される演技とは思えないような笑いが、さらに観客の笑顔を誘っていたように思います。そういう意味では、見た目は完全にオッサンのバカリズムさんが、OLとして完全に溶け込んでいたと言ってもいいでしょう。

バカリズムさんがこの脚本を妄想で書いているのか、綿密な取材に基づいているのかは知りませんが、かなりリアルなのではないかと思います。あとで知ったのですが、以前に連ドラ化されていたようなので、この機に深夜枠でまたドラマ化してくれないかと期待しています。家で一人でニヤニヤしながら観てみたいです。

とにかくおもしろくはあるのですが、ただ、一つ難点があります。それは、明日からの職場が本気で怖くなるということです。うちの職場は女性が多いので、マジで気をつけないといけません。「必要なのは真実よりも矛先!」ですか、めっちゃ笑えましたが、大事なことを学んだ気がします。いやはや、単純に笑ってばかりはいられませんね。

おじゃる