劇場公開日 2020年1月31日

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「フランス映画の極み、恋と愛と男と女」男と女 人生最良の日々 xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フランス映画の極み、恋と愛と男と女

2020年2月10日
iPhoneアプリから投稿

男と女、男と女Ⅱ、そして完結編ともいうべき3作目。ルルーシュ監督ははじめからこうした時間軸で撮ろうと思っていたのだろうか。3部作ですね、やっぱり。ため息が出るほどの美男美女の主役二人が、時を経て、男は枯れ果て、女は深くなっておりました...やはり絶世の美男美女も当然に自然に古びており、そこにリアリティがあります。むしろホッとしました。パソコンに恋をする映画もある今ですから、ある意味、何ら新しいところはない、退屈と言う人もいるかもしれません。が、映画は人生を教えてくれる先生みたいなところもありますね。年老いた時に、思い出したい思い出や人がいるというのが、人生最後に手にする実りであり、財産なのだと、ああやはりフランスの美学、でもとても共感できます。日本は老後2000万円必要とか、年金だけじゃ足りないよとか、70までは働かないと食べていけないよとか、せっせと拝金主義が刷り込まれ、「万引き家族」を観ては身につまされ...歳をとる恐怖、お金がない恐怖、頼る人がいない恐怖を植え付けられ、美しさを語り合う時間も場もない。アンヌだって、芸術系の映画ばっかり撮りすぎて、首が回らなくなっちゃった、とか問わず語りしますし、ジャンもいつも一人で施設でのボケ防止クイズになんかちっとも馴染めない...でもいいんです。若くても歳とっても、やりたいように生きたいように生きるんだなあの人達は、と思いつつ。別に日本人だってそうしていいんだよと一人自分にツッコミ入れました。生まれてから死ぬまでの時間を、何をしてどう過ごすか。失敗も成功も、ない。ただ、やってみるだけ。たまにそこに奇跡のような出会いもある。恋の成就は結婚とは限らない。誠実ではなかったモテ男も、80過ぎてみて、アンヌを思い出す自分をはじめて知る。そこまで生きてみないと、当の二人にすら、あれが愛だったとはわからない。本物かどうかは、時間に試され、最後に炙り出されていくのか...恐れ入りました。

xmasrose3105