罪の声のレビュー・感想・評価
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数奇な運命を背負わされた子供達
見応えのある映画だった。
まず、脚色がうまいと思った。
実際の未解決事件をモチーフにした原作の膨大な情報量が見事に整理され、大胆に省略しつつもストーリーに説得力があった。
犯罪に声を使われた姉弟の行方を記者・阿久津(小栗旬)とテーラー・曽根(星野源)がコンビとなって追う、一種のバディムービー。
小栗旬と星野源は出会いの最初の場面だけは対立する。
二人は出会う前にそれぞれ独自の調査を行っていたが、それがやがて結びつき行動を共にするに至る過程や、二人に信頼関係が築かれるエピソードなどが、簡潔で無理なく描かれている。
真相が解明された後がやや冗長な気はしたが、悲惨な人生から救済される後日譚はこの物語には必要だったと思う。
演出は堅実で丁寧な印象。
過去の事件を追う話だから半分は過去のシーンで構成されているのたが、現在と過去をテンポが良く切り替え、解りやすい。
星野源が女の子の元担任教諭にたどり着き、そして同級生から話を聴く場面は涙を誘う。
やっと弟にコンタクトが取れる場面、携帯電話の着信音が薄暗い部屋で鳴るところからのカメラワークが素晴らしい。
そして、小栗旬が宇崎竜童に、星野源が梶芽衣子に、別々に真相を聴く場面が同時進行でクロスするクライマックスの演出が圧巻。
おそらく大抵の人が、実在するはずのかつての子供達がこれを観てどう思うか気になったはず。
彼らの人生模様は完全なフィクションだが、自分が犯罪に巻き込まれたことを知っていた子と知らなかった子がいたという設定は、原作者の視点の鋭いところだと思う。
実在する彼らは、今もその事を知らずに平穏に生きていて欲しいと願うし、もし映画のように悲惨な目にあって、未だに引きずり続けているのなら、あなたたちに罪はないというこの物語のメッセージが伝わればいいのにと思う。
劇場型犯罪と呼ばれたこの事件では、犯人グループは身代金を全く受け取れていない。
緻密で大胆だと思われた計画の裏側では、実はお粗末なドタバタ劇が繰り広げられていたというユニークな発想は、あながちあり得るのかもしれない。
実に見応えのある作品
未読で申し訳ないのだけれど(当時の新聞を全部読んでいたらしいし、作者の並々ならぬアプローチがあった事は知っていた)原作が秀逸なのだろう。
事件の解釈の仕方が見事で、観ていてとても引き込まれる内容だった。
「声」に焦点を当てた点も素晴らしく、事件当時同じような年だったこともあり実に興味深かく観れた。
また当時は何とも思わなかったが、「声」によって狂う人生は確かにあったであろう。観ていて本当に怖いと思いました。
また主演の二人も良いが、脇を固める役者達が実に良いんですね。
梶芽衣子や宇野祥平などの存在感が強く、よく集めたと思います。それとキツネ目の再現度は見事。
当時の事件を知る人には、時代を経て全て解決してくれたような爽快感すらあるでしょう。私にはありました。
謎だった部分や不可解な行動が段々と紐解かれる様は、脚本の素晴らしさを感じます。
ただ、事件を知っていると知っていないでは作品の受け止め方がだいぶ違うと思うので、知らない世代は軽くでも調べておいた方がより楽しめると思います。
骨太な作りで実に見応えのある作品でした。
絶対の正義はない
似顔絵が実在するとこうなんだ!と感動しました。
他に感動はありませんでした。
最初から最後まで解決へのストーリー。
「正義だ!」と言い切る人の正義が、絶対だったことは一度もないように思います。
みんな迷いながら「自分の正義」を探しているのではないでしょうか?
小栗旬さんが左利きなんだ。と、何回も思いました。
左利きの人はホワイトボードに横文字を書く時、とても大変だなぁと。
私にはピンとこない作品でした。
とても期待していたので少しだけ残念。
憎しみを憎しみで返さない
曽根さんの人当たりの柔らかさ、そして憎しみを憎しみで返さない高潔さに心打たれた。
憎しみを憎しみで返さないのは、自分のような知らず知らずの加害者・被害者を増やさないため(あとの2人の辛さを知ったのもあって)もあると思うが、やはり彼自身の性格・守る存在があって愛のある暮らし(昔も今も)にいるからということもあるのかなと思った。聡一郎も母への罪悪感と身の安全さにホッとする気持ちが強く、彼が今までどれほど辛い状況にいたのかよく伝わってきた。
曽根が阿久津に心を開く理由も、曽根の人柄をよく表しているなと感じた。普通はそれでも心を許さない人もいるだろうが、人の良いところを受け取り、信用するという勇気を持てる姿がすてきだった。
良かったです。
見る前に、グリコ森永事件を調べてから行きました。
現実にあった事とよくマッチングしていて、臨場感がありました。この事件の子供の声にスポットを当てたのもさすがだと思いました。
達夫の甥っ子役の星野源さん、とても良かったと思います。自分がと考えると、暴くのが良いのか、闇に葬るのが良いのか本当に悩む所です。
テープや手帳を達夫や母親が残していたのはおかしな点ですが、あくまでフィクションなのでスルーしました。
本当の事件の声の子供さんが幸せに過ごしておられる事を願うばかりです。
犯人グループの動機は微妙だったけど全体的に面白かった
実際にあった事件を元にしているのだが、子供の声を使った実際の音声は怖いものがあった。無機質で感情ない感じが余計に恐ろしく感じた。
6歳とかなら何か吹き込まされてるとか判断できるだろうし、流石に全く覚えてないことはないんじゃないかなと思うので分かってて協力しているなら怖いなと思ってた。
どちらにしろ、大人の都合で利用されてるだけなので子供に罪はないと思うけど。
作品自体は割と展開も早いし面白かった!事件の事を把握してから観る方が色々考えさせられるかも!
いやいや、日本映画頑張ってます!
原作未読で鑑賞。
素晴らしい映画でした。
この物語の濃密感、凝縮感、そして充実。
点と点が線に、線と線で面に、
面が幾重にも重なり見事なヒューマンドラマに仕上がってます。
凄く入り組んでいます、ストーリー。
背景とか、人間関係、様々すぎます。
人間の成長とかも入ってます。
さらに、あの迷宮入り事件がモチーフの謎解きが入ってきて、、、頭がとっちらかりそうなファクターがてんこ盛り。
これを見事に人間ドラマとして描き切っている原作の力がまずあるんでしょうね。
そして、原作のボリュームは知りませんが2時間半にまとめた脚本見事!
そして、この作品。全ての演者さんが良いのです!!!もう、なんて言うんでしょ?
日本映画の底力見せていただきましたよ。
このお話、できれば前後編にして、謎解き部分や謎が明らかになっていくほどに変わっていく人間関係をもう少し深掘りして欲しかったかな?
また、小栗さん演じる記者さんにも物語がありますから、ここも手厚く描けるし。もっともっと良くなるとおもいます。謎解きがテンポ良い反面、あれ?迷宮いりだったよね?と疑問もっちゃうほど。(謎解きはメインテーマじゃないから、ま、いっか)
さて、うまく書けませんが、
あれよあれよと物語に引き込まれ、余計なカットがほぼ無く、(イギリスの遠景以外)まー、ものの見事に心揺さぶられました。参りました。
「声」にはじまり「声」に終わる。
傑作です!
ケチをつけるなら、、、小栗さん、関西弁じゃないほうが良かったんじゃ?
見て良かった作品でした。まずストーリーがおもしろかったです。声の主...
見て良かった作品でした。まずストーリーがおもしろかったです。声の主達はどんな人生を歩んだか、それを含め時効の事件を明らかにすることは正しいことなのか、マスコミの意義とは何なのか。小栗旬演じるの冴えない記者の言葉にも、色々と考えさせられました。
真相を追求するシリアスな流れと、合間に入る古舘寛治、松重豊の安心感。普段、シリアス物は観ないのですが、テンポも良く十分楽しめました。
ホントのグリコ森永事件を見ているようだった
グリコ森永事件。当時私は19歳で、就職して間もない頃でした。若かったから社会というより自分のことで精いっぱいだったように記憶してます。
社会を震撼させたあれだけの事件が、結局犯人グループは検挙されずに時効を迎えている。
もちろんフィクションとしてあるが、真相はこうだったのではないかと思えるほどに真に迫ったストーリーと迫力でした。
事件を追うストーリーもさることながら、犯人と家族や巻き込まれた今を生きる人たち・・・そんな人間模様にも感涙しました。
あのテープのせいで一生台無しや
2020年映画館鑑賞116作品目
原作未読
漫画未読
脚本は『俺物語』『アイアムアヒーロー』の野木さん
監督は『いま会いにゆきます』『ビリギャル』の土井さん
新聞記者という仕事というのは地道な取材の積み重ねで成り立っている
それが眠気を誘う
グリコ・森永事件知らない世代はあらかじめネットで調べておいた方がいいと思う
生島総一郎役の宇野祥平の芝居がとにかく素晴らしかった
普段なら飄々としたハゲおやじであまり目立たない存在だが今回は違う
東京あたりに住んでいる人でもし宇野祥平を見かけたら「罪の声の芝居最高でしたよ」と褒めてあげて欲しい
のぞみちゃんはただただ可哀想だった
なぜテーラーと生島きょうだいでこんなに差が開いてしまったのかよくわからない
関西人じゃないこともあり関西弁は全く気にならなかった
一部関西人はプライドが高すぎで保守的で閉鎖的なせいか東日本出身の役者に対して厳しすぎる
関ヶ原の戦いで石田三成が勝っていたら関西弁が標準語になってるとか寝ぼけたこと抜かしてるしアホか
日本の左翼はろくなことしないなと感じた
この映画を作ったのはTBSと講談社だけど
梶芽衣子とか浅茅陽子とか宮下順子とか桜木健一とか佐川満男とか佐藤蛾次郎とかなぜか懐かしい俳優さんが多く出演していた作品でした
その時、人は「奮い立っちゃう」んだろうなぁ。
話題になっているという点、野木亜紀子さんが脚本をされているということぐらいしか頭に入れず、映画を鑑賞しました。完全オリジナルなのかと思いながら見ていて、エンドロールで原作があったことを知ったぐらいでした。すみません、不勉強で。
隙のない、素晴らしい映画だと思いました。
『スパイの妻』が映画らしい(?)余白の多い、色々な見方ができる映画でしたが、こちらは多くの情報を分かりやすく伝えてくれた、いい意味で対照的な映画だと感じました。
この完成度は原作、監督、脚本、俳優さん、現場スタッフの方たちのしっかりとした連携や協力、コミュニケーションがあってできたものだろうと、勝手ながら想像します。ビッグリスペクトです、はい。
ただ、一点、学生運動が犯行の動機となる点は、私なりの解釈をしました。
学生運動の時のあれこれが動機となる物語はたくさん見てきましたが、正直40代の私にはまったくピンときません。なるほど、少し上の年代の方には、それほど深い傷をのこしたというのはわかっても。
私自身を納得させる言葉としては、犯人たちの「奮い立つ」というセリフでした。
今も昔も正義と思ってやった行動が実は…というのは多いですが、それを今風の事象に当てはめれば、あえて詳細は言いませんが、ここ1~2年でも個人単位、もしくは誰かに乗せられて「奮い立った」結果、とんでもないことになったという出来事は後を絶ちません。
主にネット、SNSの世界で。
舞台や時代は変わっても、そして、その人がどれだけ年齢を重ね、人生の経験を積んでいても、この熱く燃え上がる感情が時に目を曇らせるという、その怖さに思いを至った次第でした。
社会派邦画では近年No. 1!
原作は見てません。
お母さんをお見舞いするシーンで、嫁がリンゴをむこうとしたら、梶さんがオレンジが食べたいと強めに言ったシーンがあり、何か意味あるのかこのシーンは?嫁姑は仲悪いのか?と思いましたが、最後にどんでん返しがありましたね。
脇を固める役者陣が、それぞれ良い味を出していて、よくぞこの芸達者なメンバーを集めてきたと。特に昭和のシーンは良い味が出てました。川口覚、阿部純子、篠原ゆき子、望ちゃん役の子、若葉竜也など。
また、宇野祥平さんは、日本アカデミー賞助演男優賞を与えて欲しいレベルの演技でした。
うーん。
元になってる事件を知ってたらもっと楽しめたのかなぁ?
実はリアルタイムであんまり知らなくて
とはいえ有名なのでうっすら知ってるから
中途半端にな知識が逆に問題で。
途中途中で「現実はどうだったんだろ?同じだったのかな?」と頭をかすめてしまって集中出来なかった感と、
登場人物がいっぱい出過ぎて(しかもありきたり名前ばかりで)あたまパンパン。
時々専門用語的なのが出てきて時々ハテナ。
株とか麻雀とか。
話としては面白いかなー
野木さんのファンで見に行く。パンフは買わず、ということは、そこまで...
野木さんのファンで見に行く。パンフは買わず、ということは、そこまで面白くなかったということ。でも、脇の俳優群も良かったし、星野君のファンで、抑えた演技だけど、とても良かった。星野君が抱えた苦悩と真実へ向かっていく姿を彼の底深い演技で表現していた。大阪弁がパーフェクトじゃないのは、どうしても気にかかる。あとは、学生運動の描き方がステレオタイプだし、あんな風に、過激派の犯罪をただ排除するなら、野木さんの世界は狭い。
グリ森事件の真実に迫る?
綾野剛と星野源の共演ドラマを見てた勢いもあり、半分興味本位で映画館へ。
昭和の犯罪史上最も有名な脅迫事件グリ森事件。
当時の記憶は曖昧ながらキツネ目の似顔絵は鮮明に覚えてた。子供の声の話もうっすら覚えてたけど、その子がどうなったかとかまでは考えたこともなかった。
冒頭、数分遅刻して見逃したのは痛かった。ちゃんと最初から見ればよかったと後悔した。
星野源が自分の声のテープを見つけ、そこから少しずつ真実に迫るのと平行して、小栗旬は新聞記者として当時の記録を辿り調査を進めて行く。
やがて二人は出会い…
となるわけだけれど、話に大きな盛り上がりがない割に最後まで集中して見ることが出来た。登場人物が多く、最初少し混乱しながらも、話の筋がわかればちゃんと区別がつく。ここは脚本家の丁寧な作りがものを言ってると思う。やっぱり映画は原作も大事だけど、それを2時間と言う尺に収める脚本が映画の出来に左右するんだなあ。
犯人が指定の場所に来なかったり、突然脅迫をやめたり、当時全く謎だった理由も(フィクションとは言え)なるほどそうだったか、と思わせる。
現実では事件は謎のままだけど、この世界では真相の解明ができており、しかも登場人物それぞれに落とし前をつけてくれているため、モヤモヤを残さずスッキリして映画館を出ることができる。
役者陣も大変良い働きをした。なんと言っても、宇野祥平さんの聡一郎。あまり役者さんを知らないので名前を初めて見たが、とても印象的な演技で最後は泣かされた。
もちろん誠実な仕立て屋星野源、見てもない映画評をテキトーに書くエンタメ部記者の小栗旬。二人の演技力も素晴らしかった。
最初はネットで「方言指導の先生も絶賛」と称賛されてるのが腹立たしいほどイラっとする似非関西弁で「役者ありきのキャスティングなら、いっそ事件そのものを関東で起きたことに架空設定すればええやん」とか「似非関西弁すら途中で諦めてるやん」とか「いっそ東京で育った関西人設定にせえや」とかファンが激怒するようなことをずっと考えていたが、物語中盤あたりからどうでも良くなってきた。ここはお二人の力量を素直に褒めるべきであろう。
他にも、素人がそんな簡単にあちこち取材できるものなのか?とか板前さんも先生も、なんやかんやで口軽すぎちがう?とか多少ご都合主義的な展開もあったけれど、最後が良かったため、問題なしとする。
あと、これも個人的に思うこと。全共闘世代って独善的で自己中な人が多いわ。加齢による衰えとは関係なく。
話はそれたけど、本作は見逃した冒頭、初見で理解できなかった細部を確認するためもう一度見に行こうと思う。コロナ禍以降、久しぶりに見た秀作だった。
罪の声を背負った人の人生
有名なグリコ・森永事件をモデルにした映画で、テーラーの主人・曽根(星野源)が脅迫に使われた声が自分の子供の時の声だと気づくところから物語は始まる。この映画では事件の真相が明かされる。ただ正直に言わせてもらえば、かなりフィクションくさくて、多分、真実は違うだろうという感想。もちろん事件の真相は物語として面白いのだが、そのことよりも否応なく事件に関連させられた脅迫の声の主である少年・少女およびその周囲の人間の人生に焦点をあてているところが、人間ドラマとして興味深い。事件のことを知っていると、より楽しめる作品だと思う。
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