劇場公開日 2020年10月30日

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「「キツネ目の男」で有名な実在の事件をモチーフに作った作品。経済的な背景を与えた物語の展開が面白い。」罪の声 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「キツネ目の男」で有名な実在の事件をモチーフに作った作品。経済的な背景を与えた物語の展開が面白い。

2020年10月29日
PCから投稿

2000年に時効を迎えた、食品会社をターゲットにした、あの脅迫事件。「キツネ目の男」という犯人像が独り歩きして、私の記憶も時効と共に、ほぼ更新されずにいました。
ただ、よくよく考えると、犯人は一度も現金の引き渡し場所に現れなかったりと、よく分からない事件でもあります。
そんな実在の事件をモチーフに、実は「半沢直樹」的な「経済的な動きが背後にあった」という設定をしているのが本作です。
正直、「なるほどなぁ」と感心しました。確かにそういう動きをすれば経済的な利益も莫大に得ることが可能になります。
そうしてバックボーンのリアリティを与えながら、「脅迫の際に使われた子供の声」に焦点を当てている点も面白い。原作本の発行元の講談社が製作幹事会社の1つになっていることから、原作への自信がうかがえます。

マイナス要素を強いて挙げると、少し間延びして長く感じてしまった面がありました。これは、登場人物が多かったからなのかもしれません。
事件の構想が大きい分、いろんな人が出てきて、しかも「現在」と「過去」が交差もするので、少し頭が疲れる面が出てくるのです。
いや、「頭が疲れる」というより「興味が薄れる」という方が正確かもしれません。
小栗旬や星野源といった主要キャストには感情移入もしやすく良いのですが、だんだん主要キャストから離れたディテールにいくと、少し時間が長く感じる面はあるかと思います。
ただ、良く解釈すれば「丁寧に追っている作品」とも言えるでしょう。
「未解決事件×経済的な事象」の化学反応が存分に活かされた名作だと思います。

細野真宏
ゆたぼーさんのコメント
2020年10月30日

今は前後編やらなくなったけど長い作品か1時間でも一般料金かのどちらかに!?

ゆたぼー