劇場公開日 2019年9月27日

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「過激になっただけの減るボーイ」ヘルボーイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5過激になっただけの減るボーイ

2020年2月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

かつてギレルモ・デル・トロ監督とロン・パールマンのタッグでも映画化。
ナチスと怪僧ラスプーチンによって地獄から召喚され、この世を滅ぼすかもしれない存在ながらも、人間の手によって育てられたアメコミ屈指の異色のダーク・ヒーロー。
その名は、

ヘルボーイ!

シリーズ2作が作られたデル・トロ版は大好き。
オカルト要素を散りばめながらもユーモアとエンタメ性たっぷりの世界観、
これぞデル・トロ真骨頂の極力CGに頼らず特殊メイクなどで創造したクリーチャーの数々、
ワイルドだが皮肉屋で嫉妬深く、想いを寄せるリズ(この時のセルマ・ブレアがとっても魅力的!)へ恋に不器用、しかし仲間思いで心優しく、それが最高にハマったパールマンの好演、
異形の者への差別や偏見の哀しみ、デル・トロの彼らへの愛ある眼差し…ドラマ面も上々。
数あるアメコミ作品の中でも特にお気に入りとなった。
そんな魅力ある作品とヒーローが、再召喚(リブート)!

さてさて今回、MCUでリブートされたハルクやスパイダーマンよろしく誕生の経緯は語られず(物語上で触れられる)、いきなり本題へ。
1500年前、アーサー王によって葬られた血の魔女ニムエが現代に復活。疫病と魔物でこの世を滅ぼそうとする魔女の陰謀に立ち向かうが…。

変わらず考えるより先に体が動く性格で、口から出るのは減らず口と毒舌ばかり、今の時代に合わせ楽観的で現代っ子な新ヘルボーイ。
それはアクション面にも表れている。
ロックンロールな音楽に乗せて、とにかくノリノリ、ハイテンション。
ワンカット風の3体の巨人とのバトルはまさしくその見せ場の一つ。
デル・トロ版よりアクションもユーモアもド派手で、一味違う。

…そう、違うのだ。
その決定的な違いは、ズバリ言ってしまおう、ド派手と書いたが、いやそうではなく、
過激!凄惨!悪趣味!全開のバイオレンス描写の連続。
人体破壊や血の量、グロさは半端ない。クライマックスではロンドンに現れた魔物が人々の体を貫き引き裂く、地獄絵図!(何だかこのシーンは、『進撃の巨人』や『ベルセルク』などハード日本コミックを彷彿した)
何処か愛着あったデル・トロ版と比べ、クリーチャーの造形はおぞましい。特にあの魔女婆さんは、ドアップと○○の手入りのスープはご勘弁を…。
デル・トロ版のような痛快な娯楽作を期待すると、あまりの残虐描写にドン引くかも。
まず間違っても、グロい作品が苦手な人は見ないように。
自分はグロい作品は嫌いではないが…、こういうの期待したのではなく、少々ゲンナリ。

新ヘルボーイのデヴィッド・ハーバーはより強烈なルックスに。
ヘルボーイの育ての親ブルーム教授もイアン・マクシェーンにバトンタッチし、新たな仲間として、霊媒少女やある秘密を持つBPRDエージェント。
ミラ・ジョヴォヴィッチが血の魔女を美しく、生首だけでも喋る恐ろしく怪演。
…が、各々キャラは立っているが、デル・トロ版より魅力や好印象は感じられず。

特に残念だったのは、ドラマ部分。
一応ニムエに悪へと誘われ、魔物と人間の間で葛藤し、父子愛なども織り込まれてはいるが、
どうしても過激なアクションや描写推し。
唐突な展開や説明不足な点も多い。
監督は超人気TVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』で手腕を奮ったニール・マーシャルで、同作は非常に興味あるもののまだ見た事無いので何とも言えないが、しかし本作に限って言えば、映画クオリティーのTVシリーズの印象。
センスも娯楽性もドラマ面もデル・トロには及ばず。

何度も何度もデル・トロと比較して申し訳ないが、
だってあちらが好きだったから…。

ラストにはデル・トロ版でもお馴染みあのクリーチャー(の手)も登場し、シリーズ化への意欲満々だが…、
アメリカではラジー賞級の酷評と大コケ…。
高レビューも多いようだが、個人的には、

過激になっただけで、
他色んな意味で、減るボーイ。

近大
2020年2月9日

VOD見直しました。ロブスター前半生きていたんでなんでかなーっと。第二次世界大戦末期は生きてて、現代になるまでに死んだって事なんすね💦他の方が色々変身して下さるので、この方もロブスターに変身して下さるのかとww

巫女雷男