劇場公開日 2019年11月1日

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「これまでの綾野や小松とは違う一面を垣間見れた点は非常に興味深い」閉鎖病棟 それぞれの朝 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これまでの綾野や小松とは違う一面を垣間見れた点は非常に興味深い

2019年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

綾野剛や小松菜奈のファンにとっては、これまで彼らの出演作とかけ離れているので、多少なりとも戸惑いを感じるかもしれない。笑福亭鶴瓶も含めて、彼らは通常、映画の中に一人立っているだけで、それだけですでに華となる俳優だ。だが、恐らく彼ら自身がその立場に甘んじている現状を打破したいと感じたのではないか。

本作は元精神科医によるベストセラー小説の映画化であると同時に、日本映画界のベテランである平山監督が奇をてらわず、何よりもストーリーを伝えるための作品として作り上げた感が強い。その演出の思いを汲み取って、俳優陣も決して自らのオーラを縦横無尽に放出するのではなく、むしろグッと内側に押しとどめて渦巻かせるタイプの演技で本作に身を捧げている。派手さを封印しているがゆえにどこか地味に思えてしまう節もあるかもしれないが、メインとなるキャストが織りなす疑似家族のような関係性は後から思い返すとしみじみと温かい。

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牛津厚信