劇場公開日 2019年9月6日

「極めてベタなファンタジー家族映画」台風家族 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5極めてベタなファンタジー家族映画

2019年9月11日
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鑑賞方法:映画館

今どきここまでベタなカメラワークと演出があるのかあ...。
全てはこれに尽きる気がするんですが。
銀行強盗をはたらいた後行方不明の両親。10年後、遺産分割を兼ねて葬儀が行われるのだが...。というあらすじ。
いやもう兄弟の争いがテンプレート的。草彅剛と新井浩文の役がひっくり返れば良かったのかもと思いながら見てしまう。草彅さん演技すごくいいんですけど、絶対こいつ根幹下衆じゃないだろ、というのが最初から見えるんですよね。勿論そういう演出だし、伏線の張り方があからさま過ぎるんですが(扇風機ベタすぎだろ...)。だからミスリードに持っていきたいのか、分からせた上で見せたいのかが中途半端でした。
それでもやはり展開は分かりやすいので、(中村倫也が全然キャラ的に分からないけど)、こうなるよな、という方向にきっちり泣かせというか感動も仕込んできて。この辺もまあ、分かってるのに泣けちゃうというか。結局誰も悪くないんだよ的な。奇をてらっていないどストレートといいますか...。
だからこそ、あのラストへのファンタジー展開は何なのかという気はする。あれはない。というかあれは警察もびっくりだわ(そういえば全然警察出てこないよねこの話...)。などと超リアリストの私などは思うのですが。
ベタに振り切るなら最後までベタに振り切った方が良かったよな、と。あのラストはベタだけどファンタジー過ぎるでしょ。
あと、YouTuberのくだりが必要かどうか分かりません。私はあの家に誰かが来るたび「あのカメラはもう止まってんのかしら」と考えながら観てしまいました。つまりすごく中途半端なアイテムな訳で、あれをバッサリ削除しても良かったのでは...?とは思ってしまいます。
個人的はやっぱり若葉竜也が最高なのが分かりました。彼は凄い。存在感を持ってなんでもできる。しれっと家族写真に入ってるし。
細かいことをぐちゃぐちゃ言わなければ、泣きもあってなんというか懐かしい映画という感じ。しかし演者にあれだけ巧者を揃えたならもっと別の展開や演出もあり得たしあって良かった、というのが正直なところです。

andhyphen