劇場公開日 2020年1月10日

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「痺れる名作」フォードvsフェラーリ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0痺れる名作

2023年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

ル・マン24時間耐久レースで、フォードを勝たせた2人の男の話です。
2人の男の名前は元レーサーのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)
そして45歳の現役レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)。
終始ワクワクしっぱっなしで、非常に観ていても熱がこもる。
車の爆音とタイヤが焦げる匂い、そして男のロマン。
1960年代、「ル・マン24時間レース」で4連覇を誇る
フェラーリ(イタリア)
フェラーリに挑戦してル・マンで優勝して、アメ車のクオリティと実力を
世界に見せつけたいフォードのオーナー、ヘンリー・フォード2世
(トレイシー・レッツ)。
優勝請負人として選ばれたのがアメリカでただ1人、ル・マンの
優勝レーサーであるキャロル・シェルビーだった。
シェルビーは心臓病で現役を引退している。

フォードの参戦一年目は惨敗。
翌年1966年のシーズン。
偏屈で嫌われ者・・・フォードのイメージに合わないと呼ばれる
ケン・マイルズをシェルビーはル・マンで勝てる男は狂犬ブルドッグの
ケンしか居ないとフォード2世を説得する。
金で両頬を叩く嫌味なオーナーのフォード2世。
シェルビーもケンも嫌っている。
フェラーリの会長もヨーロッパ全土の人々と車関係者だって同じ。
しかし目的はひとつ。
「ル・マンに勝ちたい、頂点を極めたい!!」
限界に挑む車と男たちの世界だ。
限界に挑む男・ケン・マイルズ。
直線道路を時速320キロ以上で走り抜く勇気。
24時間16・46キロメートルを走り抜く車の耐久力。
ル・マンのコースの3分の2は一般道でデコボコの山道でカーブには
フェンスもハンクもないのだ。
殆ど一睡もしないで夜間も走る。
1966年のこのレースは夜間、土砂降りに見舞われた。
ガスと雨飛沫で何も見えない。
勘と集中力と気力だけが頼りだ。メカがシリンダー一個故障しても
一巻の終わり。
クラッシュして火を吹く車。
コースアウトして脱落する車。
文字通りの『24時間耐久レース』
クリスチャン・ベイルは前作『バイス』から33キロ減量して偏屈な
イギリス人を入魂の熱演。
どこか間抜けな男で私は笑い泣きしてしまった。
ラストでフォードの狡猾な提案を結局は呑んでしまうお人好し。

フォード2世役のトレーシー・レッツはこの映画にある意味で
貢献した。
シェルビーに無理やりレーシングカーに乗せられ、あまりのスピードに
半泣きで肝を冷やす演技で笑わせた。

ル・マン24時間耐久レース、1923年から戦争中の中断を含み
100年の歴史を誇る今に続くレースだ。
男たちの意地と勇気。
そして車会社の血の滲む努力と駆け引きが様々なドラマを生んできた。
悲劇の主役なのにどこか飄々と演じたクリスチャン・ベイル。
常識人でもあり大人で優しい男シェルビー。
マット・デイモンの円熟した演技に惹きつけられた。
本当に大好きな映画だ。

琥珀糖
ゆり。さんのコメント
2023年10月18日

共感ありがとうございました。もう内容を忘れちゃってましたけど、琥珀糖さんのレビューで思い出しましたよ。臨場感のあるレビューですね。

ゆり。
ハルクマールさんのコメント
2023年10月8日

こちらこそフォローありがとうございました。
この映画お好きですか?熱い思いがレビューの端々から伝わってきました。

私もこの映画超大好きです!お話自体も史実なのに創作ものよりもずっと劇的で、しかも悲劇的で…。
俳優さんもクリスチャン・ベイルにマット・デイモンと芸達者、熱い男たちのバディムービーは見ごたえ十分ですよね。
共感しまくりです。また観たくなりました!

ハルクマール
みかずきさんのコメント
2023年10月4日

共感ありがとうございます。

短い文章を畳みかけるように連ねて綴られた迫力あるレビューですね。

私も、文章は短く、接続詞は極力入れないレビューを心掛けています。

本作、あのルマン耐久レースでのゴールシーン、結果は、
超現実的であり、人生のほろ苦さを集約していました。
ハッピーエンドではありませんでしたが、胸が熱くなる作品でした。

本作の対極にあるのが、
現在、公開中のアメリカ映画’グランツーリスモ’です。
プレステーションのドライビングシミュレーションゲーム・グランツーリスモのゲームプレイヤーが本物のカーレーサ―に挑む実話ベースの物語です。ラストレースは本作と同じルマンです。
シンプルな物語ですが、実話という後押しがあるので感動的です。
是非配信サービスで御覧になって下さい。

では、また共感作で。

ー以上ー

みかずき