劇場公開日 2019年9月20日

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「『インターステラー』にも似た壮大で美しい宇宙を舞台にした父と息子の葛藤」アド・アストラ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『インターステラー』にも似た壮大で美しい宇宙を舞台にした父と息子の葛藤

2019年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

常に冷静沈着な宇宙飛行士ロイ。宇宙ステーションの船外作業中に発生した不可解な電気現象、サージの直撃を受けるが無事に生還。その後アメリカ宇宙軍に呼び出されたロイは地球外生命体を探索するリマ計画に参加し海王星付近で消息を絶ち還らぬ人となった父クリフォードが実は生きていてサージを引き起こしていることを知らされる。サージの脅威は太陽系を壊滅させる恐れがあり、軍はロイにサージの影響を免れている火星の地下基地から海王星付近にいると思われる父に通信を試みて欲しいと依頼、ロイは即座に引き受けるがその行く手には幾多の困難が待ち受けていた。

家族を捨てて旅立った父と、父を尊敬しながらも誰にも話せない複雑な心情を抱えた息子の話を壮大な宇宙を舞台に描いた物語。個人的には星野之宣の傑作SF漫画『2001夜物語』におけるロビンソン一族を連想しました。我々人類の他に知的生命体は存在するのか?というテーマは共通しているし、ラストシーンの醸す寂寥と安堵も非常に似ています。物語のスケールは壮大ですがその問いかけは現代に生きる我々、とりわけ社畜サラリーマンの胸に極太の楔をブチ込んでくるリアルで辛辣なもの。結局物凄く地味な話ではありますがドッシリ重いドラマになっています。物語の節々で『インターステラー』を観ているかのような錯覚を覚えましたが、それは当然で撮影監督がホイテ・ヴァン・ホイテマ。彼の捉えた映像はやはり途方もなく美しく、スクリーンでないと見えないような細かい演出もありますので出来る限り大きなスクリーンで鑑賞して頂きたいです。

よね