劇場公開日 2020年6月26日

  • 予告編を見る

「ソニックよりもジム・キャリーの方に目が行ってしまうなど、色々惜しい作品。」ソニック・ザ・ムービー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ソニックよりもジム・キャリーの方に目が行ってしまうなど、色々惜しい作品。

2020年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ソニックが縦横無尽に動き回る姿は爽快だし、実写とCGのハイブリッド映画への主演という点で先輩格である、ジム・キャリーの怪演は見事(おどけた悪役と言うよりも、躁状態のジョーカーといった立ち振る舞いのため、ちょっと狂気が含まれているんじゃないの?と思っていたけど、結末の姿で確信に変わることに)。そして『グッド・ボーイズ』と同様に、配役の構成にも気を遣っている、ということで、お子様向けムービーという外観を纏いながらも、中身はなかなかの優等生的な作品となっています。

ゲームの方は30年にもわたってシリーズ化されているため、当然世界中に多くのファンが存在する訳だけど、そうしたファンの人たちからそれ程辛口の評価が聞こえて来ないのは、丹念なリサーチとファン心をくすぐる要素のたまものかも。

 しかし超音速で動き回るというソニックの特性上、彼が本気で立ち回るほど、画面に映るのは彼の残像(と、ストップモーション)のみという単調な表現とならざるを得ません。演出上の工夫を凝らしてはいますが、単調さという問題は最後まで残ってしまいました。ストップモーションの使い方にも、素人目にも許容しがたいような雑さが目立ちます。ハチャメチャでも要所は締めるという演出方法こそ、ジム・キャリー御大に助言を仰げば良かったのに!

元々のソニックはもう少し年長の設定だったけど、公開延期してまでデザイン修正を行った結果、12歳程度の少年の身長、動きに落ち着いたとのこと。そのためトム役のジェームズ・マースデンとの年の差がありすぎて、バディ映画としてもちょっとちぐはぐに。いっそ疑似親子という設定にした方が…。

見所はあるんだけど、各方面に気を遣ったために消化不良に感じる人もいるかも。しかし親子連れで行く映画として、『グッド・ボーイズ』とこちらで悩んでいるとしたら、断然こちらをおすすめします(『グッド・〜』自体は絶賛すべき傑作なんだけど)!

yui