劇場公開日 2019年7月12日

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「前作をジャンルごとひっくり返す続編映画の新たな金字塔!」ハッピー・デス・デイ 2U よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0前作をジャンルごとひっくり返す続編映画の新たな金字塔!

2019年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

前作は2017年の作品。二日酔いのピッチな大学生トゥリーが自分の誕生日の朝に目覚めるとそこは男子寮の一室。傍にいるのは見知らぬ学生のカーター君。慌てて退散するがその夜仮面を被った男に惨殺されてしま・・・ったはずが目覚めるとそこはまた男子寮の一室。かくして何度も繰り返される自分の誕生日に閉じ込められたトゥリーは、どうあがいても夜には殺されてしまう無間地獄から抜け出すためには自分を殺した犯人と対決するしかないと悟るが、容疑者が山ほどいるので途方に暮れる・・・からのタイムリープ系ラブコメホラー。憎まれ女子版『オール・ユー・ニード・イズ・キル』という感じで何度も死んでは蘇り経験値を高めていく展開の中で、トゥリーがなぜ嫌われ者なのかが少しずつ明らかになり彼女の抱えるトラウマが判明したところでぐっと観客を感情移入させる絶妙な筋書き、トゥリーをつけ狙う殺人鬼を追う犯人捜しのスリル、そしてそれらを包括するツンデレな恋物語として完結する無名キャストのB級作ながら実にカラフルな傑作でした。

そしてこの続編はその直後、カーターのルームメイト、ライアンが車の中で目覚めるところからスタート。主人公を変えて同じことをやる話かと油断していると意外な展開になり、前作もひっくるめて卓袱台を盛大に、いや本作のジャンルごとひっくり返す。この時点で今私は物凄い傑作を観ていると全身に鳥肌が立ちました。要するにもう全然ホラーではなくなっていて、セリフにもさりげなく匂わせる通りこれは過去改変SFの傑作であり続編映画の金字塔『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』へのオマージュであると同時に『バック~』シリーズに対する痛烈なアンチテーゼになっている。その点に気づかされるワンカットでもう涙が溢れました、軽いコメディを観に来たはずなのに。

しかもここまではまだ序盤。そしてその後も盛大な卓袱台返しを延々と繰り返した後、物語はトゥリーに余りにも残酷な選択を迫る。細田守版『時かけ』、『君の名は。』すらも軽々と超越し、ダジャレだとばかり思っていたタイトルにも深い意味を持たせるカットでまた号泣・・・一体どれだけ泣かせる気やねん!?でもこれはあくまでコメディなので何度もきっちり爆笑させられて、そして訪れるクライマックスを堪能した後に流れるアノ歌・・・私はたった1人盛大に拍手してました。こんな傑作、あり得へんやろ!

平日のレイトショーでこんなコメディを観に来る連中は私も含めてボンクラばかりなのでエンドクレジットが始まったところでみな退席。ここまでやる映画がこのまますっと終わるわけがないことぐらい気づいて欲しいなと舌打ちしたところで始まるオマケカット・・・ここでも盛大に卓袱台をひっくり返してジ・エンド。あまりにも傑作過ぎて膝が笑ってしばらく立てませんでした。

これは全てのSFファンが観るべきマスターピース、前作すら日本公開されていないのが信じられない。すぐにでも2作併映でロードショーすべきです。ホントにスゴイです。これが観れたのは幸福以外の何物でもないです。今まで生きていてよかった。

よね