劇場公開日 2019年9月13日

  • 予告編を見る

「映像という表現の可能性を強く感じる」人間失格 太宰治と3人の女たち uminekoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映像という表現の可能性を強く感じる

2019年9月22日
iPhoneアプリから投稿

知的

よかったです。蜷川監督らしさも十分出てたしね。読者に媚び、社会に媚びていると当時の文壇からもかなりバッシングを受けていた太宰だけど、あんな感じかもしれない。優しいんですよ。それを嗅ぎ分けた女性に愛され、男性からは疎まれる。

散りばめられた幾多の小道具、窓ガラスが十字架になっていたり、桜桃が脈絡なく登場したり。映像がそのまま心理描写になって、行間を埋めていく。

色味についてもそう。二階堂ふみのベースカラーをグリーンにしてるのは偶然じゃないと思うよ。目立ちにくい中間色、正論だからこそ否定できない。

白日夢のような雪に舞う花、創作途上で変容する書斎など、新しいアプローチも悪くなかった。見るべき価値のある、力作だと思います。

umineko