劇場公開日 2019年9月13日

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「映像美を愛でる」人間失格 太宰治と3人の女たち aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0映像美を愛でる

2019年9月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

蜷川実花作品と一発でわかる映像が良いですね。赤の使い手であり、小道具として花をあしらいながら、花に主張させる映像はほぼ完成の域かと。過去の作品と、題材が太宰ということで、もっと耽美的かと思ったが、意外に落ち着いた構成で、居心地悪さは感じなかった。
役者陣も旬の中堅でまとめて、映像に溶け込んだ雰囲気が良かった。太宰役の小栗旬は熱演で、大げさにならずに角が取れてきた演技で好感持てた。
序盤、曼荼羅のような壁紙の部屋で沢尻エリカと過ごすシーンがあるが、浮世絵のようで見事。後半の太宰の妻役宮沢リエの、子供とインクで戯れるシーンはその前の流れを受けて圧巻だった。二階堂ふみには、それほど見せ場は無かった印象だが、バーカウンターの隅で、丸めがねでタバコをふかす登場シーンは画になっていた。
物語としては心情を鷲掴みにするような作品ではないが、映像美に浸りながら、役者の演技を楽しめる良作。

あと、坂口安吾役の藤原竜也と絡むバーは、銀座の老舗ルパンですね。店の奥に太宰の写真が飾られて、今でも営業してますので、興味ある人はお立ち寄りください。最近行ってないので、久しぶりに行ってみようかな。

AMaclean