運び屋のレビュー・感想・評価
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遺書更新
久しぶりのイーストウッド監督・主演作。
同じく監督・主演の「グラン・トリノ」を観たとき、これはイーストウッドの遺書だと思ったけど、それから10年経って撮られた本作は「グラン~」と同じテーマでありながら主人公の性格は真逆。
主人公が家族を顧みずに家庭が崩壊したのは一緒だけど、本作のアールは外面は良くて人付き合いが好き。
ある意味で、演じるイーストウッド自身により近いキャラクターなんじゃないかな。
そう考えると、アールのキャラクターも含めて10年前の遺書を更新したような映画だと思う。
映画館で観たかったです。
劇場で観たかったのですが、近くの映画館に来なかったため、今になって漸く鑑賞しました。
実話から着想を得た作品との事で、完全に実話に沿った作品にしなかったのが良かったですね。
シリアスになり過ぎずところどころユーモアを感じさせる作りになっていながら、中盤以降は緊迫感も有り、更には心に響いてくる作品に仕上がっているあたりは流石クリント・イーストウッド監督ですね。
とても面白く良い作品だと思います。
行いはとても褒められたものではありませんが、何故か憎めずチャーミングに最後には好感さえ持てる主人公であるアール。
クリント・イーストウッド監督だからこそ創り上げられた人物像だと思いますし、役者としてのクリント・イーストウッドだからこそ魅力的に演じられていたのだと思います。
そう言えば作中でクリント・イーストウッドが着ていた衣装は“グラン・トリノ”や“トルゥー・クライム”“ザ・シークレットサービス”などで実際に着た衣装だったのですね。
気がつきませんでした。
今回90歳の運び屋の役を演じたイーストウッド監督ですが、88歳ながら今回の役を演じるにあたってわざと老人らしい演技をなさったとの事。
1ファンとして、監督業だけでなく、まだまだ現役の役者さんとしてイーストウッド監督には頑張って欲しいです。
お話に直接関係があるわけではありませんが、アメリカの雄大な景色を見ながらのドライブは楽しそうですね。
倫理の側面
「事実は小説より奇なり」という名言もあるが、数々のヒーローを演じてきた反動なのだろうかクリントは実話ベースに嵌っているようだ。アメリカという広大な風土と実在の孤老の犯罪者、恥知らずと一蹴されても不思議ではない話に何故クリントは魅かれたのだろう・・。
語られる家族の大切さは表層的に思う、人種のるつぼ、銃社会、従軍経験のない私は人間の欺瞞性への気づきに劣るのかもしれない、人生の終焉が遠くはないと気づいたとき、使命感のない人間は戸惑うばかりだろう。
主人公と重なる年齢のクリントが感じた老いへの想いがひしひしと伝わってくる。俳優、監督はもとより、脚本、音楽、衣装、撮影、どれをとっても誇張がないプロの仕事が心地よい。
大切な人達と過ごす時間
時間だけはお金じゃ買えない。
もっと大切な家族と話をし、
同じ時間を共に過ごそう。
家族が側にいるのに、お金は必要無いだから。
そして、妻に最愛な人だけど、苦痛の元なんて言われるのもいい。
イーストウッドの老いぼれジジイ感は秀逸。
吹き替え版で見ました。
何というか、尺がもう少しほしかった。ストーリー自体物足りなさに欠けた気がします。イーストウッドが監督した初めて見た映画はこれで良かったのかレンタルした自分自身も分かりません。今回、多田野さんのイーストウッドの演技はまさに山田康雄さんの再来!素晴らしい出来にびっくりしました!これは過去作も吹き替えして頂きたいですよね!
入り込む!
次の展開が読めてしまうストーリーだったけどイーストウッドの名演技でグッと映画に入り込んでしまう。
金が全てではないけれど、金で過去の清算ができてきたとこで、良いこと?は続かない。どこの国でも教訓は一緒。
監督としての才能も最高なイーストウッドの上手な映画作りを改めて見させてもらいました。
遠慮しないじじぃだ(笑)
差別用語もサラッと飛び出す危険なじじぃ(笑)
花ばかりいじって、家族はほっといたから嫁から娘からブチキレてる。
薬の運び屋になったら金回りが良くなって中々のリッチなじじぃに(笑)
元から遊び人気質としか思えない。
密売ギャング相手にも軽口が止まらない。
下品なじじぃだ(笑)
感動する訳じゃないが、イーストウッドの軽妙さにニヤけてしまう。
大ボスと会ってもこの調子が変わらない(笑)
密売ギャングも悪いのは悪いが何だか人がいい所がある。
時間を取り返せなかったじいさんの話は1つの寓話として観ていられる。
ただクリント・イーストウッドのヨボヨボぶりは別な何かを感じられるかもしれない。
素晴らしい!
脚本がとても良かった。
無駄なカットもないし、
ストーリーもクライマックスに向けて分かりやすく
主人公、マフィア、警察が絡み合って行き
とても面白かった。
イーストウッド作品には信頼を置いてるけど、
それでも90歳の運び屋は、迫力に欠けるのでは?
と映画館で観なかった自分を恥じる。
カーアクションなんかなくても、
人間の迫力、
90歳の人生の重みを感じる事が出来ました。
麻薬を運ぶ事を自ら選んだのだから、自業自得でしょ。
とならないのがとても不思議。
イーストウッドの愛嬌なのか、
家族を犠牲にして仕事ばかりしてたけど、
全ては家族のためだったというのが、
丸まった背中から感じられたからか、
犯罪者の説教もとても心地よく、
無事であってくれ!と願っている自分がいた。
イーストウッドが送って来た人生も
乗っかってるからか、とても見応えのある
大傑作が誕生したように思います。
素晴らしかった。
ダーティーハリーからワイルドさを取って渋さを残した
事業に失敗した園芸家が、ひょんなことからコカインの運び屋になると言う、実話を元にしたストーリーだそうです。
かつてはハードなアクションでならしたイーストウッドも、流石にヨボヨボの爺さんになってそういう映画で主役は張れなくなりました。しかし、相変わらずの存在感を示しています。麻薬カルテルのメンバーや麻薬捜査官とのやりとりの中にもかつてのダーティーハリーシリーズで見せたウィットを感じさせ、そして犯罪映画なのだけど嫌味なく家族の再生を織り込む手腕は流石です。
実の娘であるアリソン・イーストウッドとも父娘役で共演していますが、その息もぴったりでした。この渋さを感じるには、観る側も人生の年輪が必要かもしれないですが、良い映画だと思います。
懺悔
どうしても作っている本人と被る。もはや、生い先長いとは思わない映画人の作品として捉えてしまうし、本人もその見られ方に意欲満々のようだ。
仕事人間の成れの果て。このジジイを赦せるかどうか。ここでは赦されるが、そこがポイントではなく、赦されるためではなく、自発的な行為として懺悔を描く。そこが軽やかだ。
実力俳優で固められる捜査陣。そことコンタクトなく進んだ挙句の朝食のシーン。実に味わい深い。
イグナシオ・セリッチに向けられた乱痴気合間のジジイのメッセージ、唐突なブッコミ方ではあるが、こちらのテーマもファミリー、ドラマの見方が深まる凄い一手である。
ストーリーは面白いが、色々引っ掛かる
事業に失敗し家族からも見放された90歳近い老人(クリント・イーストウッド)が、警察の目を逃れて長年麻薬の運び屋をしていた実話を基にした物語。最後はこの老人が家族を取り戻すと言う大変良く出来たストーリーで、それなりに面白かったのは間違い無いのですが、少し気になる点が... 例えば、主人公が罪の意識を余り感じていなかったこと、急に金回りの良くなった彼のことを周囲の人たちが殆ど見咎めなかったことなど。それに、この運び屋の仕事を紹介したのは、主人公の義理の息子(娘の夫)の友人だったと言うのもどうかしています。本当にこの主人公の回りには余程ロクな人がいなかったのでしょうか? 実話が下敷きの作品と言われなくては、不自然な設定に胡散臭さを感じてしまいそうだったのが何とも残念でした。
老人の気付き
家は差し押さえられ家族には愛想を尽かされたうだつのあがらない老人が麻薬組織の運び屋の仕事で大金を稼ぐ。しかし、金よりも大切な事に気付き改心する話し。
犯罪に手を染め金を稼ぎ図に乗る。回数を重ねる度に身勝手な行動をする。稼いだ金を車やアクセサリといった贅沢品に使う。頭の悪そうな老人に終始イライラ。
だけど、最後は妻の死により金より大切なことに気付き改心したのには安堵な気持ちになる。
序盤から中盤までの身勝手さは改心を強調させるためのフリだったんだな。
ツッコミどころ満載の不自然さの多い作品のなかでこの作品は最後まで自然体で比較的映画の中に入り込めたのは良かった。
仕事より優先するものは。
家族が一番大事だよ。仕事を優先しないで家族を一番に考えるんだよと、90歳を過ぎたアールストーンが自分の経験を引き出して、(映画ではワッフルハウスでコーヒーを飲んでいるときにベイツ捜査官と話しているシーン)我々にそれを伝えている作品。
ロビンフットのようなアールは人との会話を楽しむのが好きで押し付けではないアドバイスもあげるけど、家庭をかえりみない過去を持っている。
ベイツ捜査官がこのようなアドヴァイスをネットで読んだのと、アールから彼の経験を混じえて聞いたのではどちらが心に残るだろう。ネットより人との関係を大切にしている。
イーストウッドの作品にいつも公平さを見つけることができる。
例えば、車のパンクで困っている黒人の家族に、手を貸すが言葉の使い方で(老人アールはこの人たちのことをニグロという)プラスマイナスになって人間はいいところも悪いところもあるよと両面を表している。イリノイ州の白人のコミュニティーでポークサンドイッチを二人のドラッグディーラーに奢るシーンも。市の白人警察がきてドラッグディーラーに『私のまちに何か用があるのか?』と迫る時、この二人を助け、住民や警察は人種差別をするがアールは違うというプラスマイナスの面を見せる。
これが遺作にならないことを深く望む。
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