劇場公開日 2019年11月8日

「妙味あり」アースクエイクバード 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0妙味あり

2020年7月11日
PCから投稿

変わった話である。
日本は、外国人が描いたややズレ感のある日本だが、むしろ妙味だった。

禎司には往年の日活のような艶があり、ルーシーとリリーにはヨーロッパとアメリカのような対比があった。

どこへ落とそうとしたのか、よく解らなかったが、ふたりの女性はなんとなくマルホランドドライブを思わせた。粗い映画だが、化けたかもしれない気配値があった。

ルーシーの幼少期の述懐とラストの裁判官の告白を併せると、間接的にせよ人を殺してしまった人間の逡巡をテーマとし、そこへ日本のriddleを重ねている──と思われた。

ところで、映画中にも出てくるが、欧米人が麺を食べているのを見たことがある。
ぜったいにすすらない。熱いのに、箸で食べてるのに、すすらない。その「すすらない度」が絶対なので、すするのが、あっちでは禁忌だ──ということは、よく解る。それは、かれらと一緒にいるときは尊重したい。
二つで充分ですよ──デッカードもすすってはいなかった。が、ブラックレインでの高倉健は壮大なすすり音を発していた。

なにかのタイミングですすり音が話題になったことがある。どこかの俗物が、開闢以来すすり続けてきた日本人の麺の食べ方にケチをつけた。ばかばかしい話題だった。

佐久間良子が出ていてびっくりした。すぐに出番がなくなって二度びっくりした。

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津次郎