劇場公開日 2019年7月5日

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「優しさと痛みと・・・」Girl ガール kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0優しさと痛みと・・・

2020年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 名門のバレエ学校へと人より遅れて入学したララは、定期的に通院しながら二次性徴抑制の薬を飲み、完全なる女性化を果たそうとする。しかし、ホルモン剤増量は危険であることや、18歳(多分)になるまでは性別適合手術を受けられない。また、手術内容のインフォームド・コンセントを聞かされると、こっちまでが卒倒しかねない・・・

 それにしても、父親、6歳の弟、周囲の親族が皆理解があり、またララを大切にしようとする優しさが感じられ、それだけで暖かくもなるのです。しかし、バレエの過酷なレッスン、特につま先への負担は想像を絶するものであり、幼い頃から練習してきた者との差も歴然。孤独で、ストイックなまでの影の猛練習を続けるララ。体が男性であることなんて忘れて夢中になって応援する自分がいました。

 人の痛みを理解することがどれほど大変で、逆にどれだけ簡単なのか。人間誰しもが持つ男女の差の考えは、いつしか差がはっきりしてくるものだろうけど、不完全なまま性的不一致が表れてくる人もいるという事実。日本ではまだまだ認知度が低いし、自分でも最初に知ったのが金八先生の上戸彩のキャラだったくらいです。

 女生徒たちもある意味寛容的ではあったけど、誕生会でのイジメのような出来事がララの心にしこりを残す。余計なモノを切り取ってしまいたい・・・18歳になるまでは手術を受けられないのだから。そんな終盤のシークエンスには、医療側のまだ患者の意思が確定していないだろうという認識と、どんなことがあっても父親は父親だ!という家族の優しさが詰まっていました。ドキュメンタリータッチという撮影法も彼女の精神のアンバランスさを表現するのに成功していますよね。

kossy
talismanさんのコメント
2020年8月24日

この映画、胸が痛みましたが本当によかったです。

talisman