劇場公開日 2019年11月2日

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「絶望にもがくこの作品が愛おしくてたまらない」象は静かに座っている エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5絶望にもがくこの作品が愛おしくてたまらない

2019年11月23日
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鑑賞方法:映画館

中国の地方都市、老朽化した住宅、親の叱責……格差社会、老齢化、いじめなどは世界標準だろうが、それにしてもこの居心地の悪さはいったい。

みんな不幸だった。居場所がなかった。しかしそこから抜け出すには余りにも愚かだった。

息もできないほどの234分。嫌になるほどの閉塞感が全編を覆った。若者も、老人も傷を負った。観る我々さえも無傷ではいられなかった。

これは激痛をともなう悲劇の傑作。稀有な作品と言える。

しかし何故だろう。もがき苦しむ彼らが愛おしくてたまらない。限りなく厳しいこの作品が愛おしくてたまらない。

満州里には一日中穏やかに静かに座っている象がいるという。そこは彼らの希望だった。満州里は遥か彼方だったが象の鳴く声が聞こえた。

エロくそチキン
エロくそチキンさんのコメント
2019年11月24日

チラシにタラ・ベーラが絶賛したとありましたが、彼を師としていたのですですね。通づるところは多々ありました。
同じ中国の監督としてワン・ビンやジャンクーに影響を受けるなといっても無理だと思いますが、いい感じで吸収していると思いました。
新しい波を起こそうという熱さを感じただけにフー・ボーの死が悔やまれます。

エロくそチキン
gachonさんのコメント
2019年11月24日

満州里という人民の郷里と思われる場所にある動物園の象を見ようとする4人を中心とした群像劇であった。タル・ベーラを師として映画つくりを学んだ中国の若き才能のポー監督の体をはっての遺書だったような気がする。みんな不幸で居場所がないほど資本社会になってしまったいまの中国はワンビン監督やジャ・ジャンク-監督が描く作品で理解してきたつもりだったが。もっとそれ以上にたいへんなんだろうなと思う。それでも希望は失うなという監督の強いメッセージを受け取った。

gachon