劇場公開日 2020年2月22日

  • 予告編を見る

「ベトナム作品は「青いパパイヤの香り」 くらいしか観たことが無く...」ソン・ランの響き ワイルドとみまるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ベトナム作品は「青いパパイヤの香り」 くらいしか観たことが無く...

2020年2月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ベトナム作品は「青いパパイヤの香り」
くらいしか観たことが無くて公開を
楽しみしていた作品。
先程知ったんですが、青いパパイヤ~は、フランスとの合作でフランスで撮影しているんですね。
なので本作が初めてのベトナム作品体験に。

ノスタルジックな映像の美しさ、
歌舞劇と楽器を通して感情の変化を
映し出す演出、
「ボーイ・ミッツ、ボーイ」と
ポスターにあるけど、ボーイズ・ラブではない友情以上の感情の描き方が素晴らしく思っていた以上に素敵な作品でした

舞台はサイゴン(今のホーチミン)
時代は1980年代。
高利貸しの取り立て屋で強引な取立てをし日々を送るユン。
そして、ベトナムの伝統歌舞劇
「カイルオン」の花形役者のリン・フン。
対象的な二人があることで出逢い、
孤高の人生を歩むフンの運命を変えてゆく、、

ベトナム歌舞劇を作中でかなりの尺を取って演じているんだけど、ミュージカルが苦手な自分はちょっと不安に。
けれど独特な歌声と旋律が哀愁さを帯びていて演歌を聞いている感じで妙に落ち着いた。
そして歌舞劇に欠かせない民族楽器でありユンとリンを結ぶ役目もはたす“ソン・ラン”

二人の過ごした時間は決して長くない。
交わした言葉も決して多くはない。
けれど“ソン・ラン”の音色が二人を繋ぐ
そしてユンの隠れた過去が大きく動き
自分の過去をさえ正すことになる。

ラジオから流れる“ケセラ・セラ”

リンも自分の気持ちを知る
だからこそ二人の出逢いのタイミングが
今だったことは切ないけど運命なんだね。。

上映後に、レオン・レ監督と
ユンを演じリエン・ビン・ファットさんの舞台挨拶がありました。
リエンさん本作が映画初出演と仰ってましたけど、本作での一匹狼的な雰囲気と感情を抑えた目の表情は初出演とは思えないほど。
調べたら、前々回の東京国際映画祭で
ジェムストーン賞(新人俳優賞)を受賞されてましたね。
今後も活躍が楽しみな役者さんです

とみまる