劇場公開日 2019年5月17日

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「ひねりもなく迫力もいまひとつ」居眠り磐音 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ひねりもなく迫力もいまひとつ

2019年5月27日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

 松坂桃李は阿部寛主演の「新参者 麒麟の翼」で初めて見た。2012年だったと思う。同作品には松坂桃李の他に菅田将暉、三浦貴大、山﨑賢人、柄本時生などが出演していて、その後の活躍を考えると凄いキャストだったのだが、物語の印象は中井貴一がすべてかっさらっていった感じである。若手俳優たちも頑張ってはいたのだが、如何せん中井貴一の演技が凄すぎて、主演の阿部寛さえ霞んでいた。そんな中で光っていたのが松坂桃李と三浦貴大のふたりだった。
 それから7年、本作品では髷を結っての登場である。これがまたよく似合っていて、品のある侍になっていた。しかし木刀の試合と殺陣はいまひとつ。昨年観た「散り椿」の岡田准一の殺陣が最近観た中で一番迫力のある殺陣だったが、松坂桃李の殺陣があのレベルに達するのは時間がかかりそうである。
 プロットもいまひとつ。展開にリアリティがないし、急転直下すぎてついていけない。伏線も拾わないので、関前藩での出来事に言及した今津屋主人の言葉は尻切れトンボに終わってしまったし、奥田瑛二演ずる藩のお偉方は何のお咎めもなしだ。
 市場原理を無視した田沼意次の政策にも仰天したが、それを守ろうとする今津屋にも驚いた。そして巷で怪演と評価される柄本明の阿波屋有楽斎は単なる悪役ではなく、むしろ反体制の先鋒みたいな両替商であった。まさか有楽町の由来はこの人ではないだろうね。その阿波屋に一杯食わせるシーンもハナから展開が読めて、痛快さはなかった。
 他の役者では芳根京子がいまひとつ。演じた奈緒には乙女心も女の優しさも感じなかった。木村文乃のおこんだけが存在感を発揮していた気がする。中村梅雀は落語に出てきそうな大家を好演。
 あまりひねりもなく、殺陣のシーンにも迫力がなかったので、途中で眠くなってしまった。佐々木蔵之介の眼光だけが、時代劇らしい鋭さを放っていた。

耶馬英彦