劇場公開日 2019年7月19日

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「人肉料理の詳細希望」東京喰種 トーキョーグール【S】 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5人肉料理の詳細希望

2019年7月24日
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鑑賞方法:映画館

喰種と人間、捕食者と被捕食者の共存と交流のロマンや葛藤。
前作ではその目線の違いから来る理不尽な世界への怒りが強く伝わってきてときめいたけど、それに比べるとだいぶヌルい印象。

エピソードはわりと詰め込んであるはずなのに、テンポとテンションが完全に行方不明で間延びを感じ、描写不足も蛇足感も強かった。
原作未読、アニメは1,2話しか観ていないので、脳内補完が全くできなくて辛い。

月山のキャラ付けが完璧。
スマートでエレガント、冒頭の捕食シーンは非常に滾るものがあった。
指に摘まれる目玉目線のカメラ、素敵。

カネキ君の血液の匂いを全身に行き渡すように嗅ぐ姿や、「味見」時のトレビアンが本当気持ち悪くて笑った。美味しそうで何より。
唾液は味わっておかなくていいのかな?などと無粋なことをチラッと考えたり。
今回の敵キャラなのにアクションが鈍くてあまり強そうに見えなかったのはご愛嬌かな。
戦略的咀嚼とかいうパワーワード好き。

主人公カネキの活躍の無さ…あのドスケベなマスクも付けてくれなくて悲しい。人肉モリモリ食べておくれ。
代わりに大活躍のトーカの最後の起爆剤がまさかすぎて大興奮。なるほどたしかに。
とんでもない重症負っといてそれだけで!?と思ってしまうが。
2:1のアクションシーンは目で観て楽しい。

西尾先輩と貴未の関係性にはなかなかグッと来るものがあるけど、見せ方がかなり鈍臭い気がする。
わりとピンチ続きのアクションの合間にヌルヌルのメロドラマ挟まれてもな…。
まあ他に良きタイミングもなかったけども。
喰種と人間の恋愛、なるほど寝る前の妄想に持ってこいだな。

トーカと友達のやり取りはサラッとしていて安心した。あれで最後にトーカが後ろ向いてちょっと嫌な顔してたら最高。
やっぱマズ!でも嬉しい!みたいな。本能には逆らえないもんだな、的な。

人肉大好きなのでレストランでのショーやお食事シーンにはキュンキュンしてしまう。
人肉料理の詳細希望。
喰種は人肉以外の食物を受け付けないらしいけど、調味料はどこまでOKなんだろう。
塩胡椒は良いのか、ハーブ系はギリアウトかな。

そうすると月山が食べていた双子の人肉ソーセージ(双生児のソーセージ!駄洒落いいね!)やヴィーガンの人肉ソテーの味付けはどうしていたんだろう。
ソースは血液がメインだろうな。ちょっととろみがあったから肝臓辺りの臓物とミキサーにかけてマッタリさせていたのかな。
ヴィーガンの肉はやっぱりビタミンが摂れるのかな!?草食だから臭みがなくてさっぱりしてそう!

月山たちが美食に目覚めたキッカケは、もしかしたら人間の味覚への憧れなのかもしれない。
数々の食材を様々な方法で調理して愉しむ人間への羨望、自分の餌となる生き物が自分には絶対に体験できない食の悦びを味わっていることへの嫉妬もあるでしょう。

喰種は基本的に生食のイメージだったけど、人肉は生と調理とどちらが美味しいと感じているのか。
本当は生がいいのに最初は無理して人肉料理を食べていたら面白い。
だんだん味覚が鋭くなって、味付けどうこうより食材そのものの素材の味を愉しむ快楽を覚えたのかな。

などと、物語とは別の方向に思考が進んでしまう映画だった。カムバック清水富美加。(山本舞香はアクションの動きも演技も申し分ないんだけど清水富美加が大好きなので…ああ切ない。)
ストーリーがどうとかテンポがどうとかカネキが人肉食べてくれないとかドスケベマスク付けてくれないとかは置いておいて、人肉に関して色々考えられる映画は好き。

しかし月山氏よ、「カネキ君が食べながら、カネキ君を食べたい」だと!?
甘えるな!!!私は!!!私はなあ!!
「カネキ君に食べられながら、カネキ君を食べたい」んだよ!!!!

KinA