劇場公開日 2019年3月1日

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「黒人リッチマンに雇われた白人運転手のロードムービー」グリーンブック 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0黒人リッチマンに雇われた白人運転手のロードムービー

2022年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

2人に愛と絆が芽生え、友人になるまでの
ロードムービーです。
黒人差別の色濃い南部を演奏旅行する黒人ピアニスト。
その運転手の白人が雇用主の黒人エリートのピンチを
何度も助けるうちに芽生える絆と厚い友情。
友情に黒人も白人もない。
あるのはお互いを必要としていること。

Dr.ドン・シャーリーは博士号を持つインテリのjazz ・pianist。
ドン・シャーリー・トリオはピアノのドンとベースとチェロの編成。
(この編成はかなりクラシック寄り)
クラシックを学んだドンらしく、上品で高度のテクニックの
洗練されたトリオだ。

この映画は映画館で字幕で観ました。
今回は配信・吹き替えで3年以上ぶりに鑑賞。
アカデミー賞作品賞に輝いただけのことはあります。

友人の役割。
友情は家族と同じか、時にそれ以上のことさえあります。

ドンを守り助けるトニー。
トニーのピンチには、時にドンの機転も出動する。
警官に暴力を振るったトニー。
(理由は、ドンを雨の中、車から引きずり出したから・・・)
ドンが留置場から電話で頼った相手は、
なんと司法長官のロバート・ケネディ!!
(胸のすくシーンだ!)

最後の町。
アラバマ州バーミンガムは、差別が酷かった。
彼らはその日の主賓のピアノトリオ。
そのリーダーが黒人というだけで、会場レストランの白人と
同じテーブルでドンは食事が出来ない。
楽屋は物置の片隅。
遂に切れるドン。

演奏会をキャンセルして向かったダイナーには、
生演奏ステージがあった。
ウェートレスにせがまれて弾いた一曲目。
ショパンの「木枯らしのエチュード」
素晴らしい!!
そしてそのステージ専属の黒人j Jazz musicianとのセッション。
心震えるシーン、生演奏だ。

一番の問い?
ドンは北部(ニューヨーク)での王侯貴族のような扱いから、
敢えて差別濃い南部での演奏旅行を決めたのだろうか?
それも稼ぎときのクリスマス・シーズンに。

黒人専用のモーテル。
トイレも会場の外のトイレを使う様に言われたドン。
往復40分かけてモーテルに戻る。
そんな理不尽と戦うことが目的だった?
黒人に魂の音楽を届けたかったのか?
子供の観客がいない世界に、
教育と啓蒙はあり得ないと思うのだが・・・
どうもハッキリと分からない。
もしかしたら、
自分の原点。
差別される自分。
その現実を忘れないため、
そして自分を甘やかさない為だったかもしれない。

そんな事はどうでも良い。
このロードムービーを楽しみ、
トニー一家のクリスマス・ディナーに訪れたドン。
殻を破ったドンと共に、
「Merry Xmas」を!!

最高に気持ちいい映画だ。

琥珀糖
みかずきさんのコメント
2024年4月19日

こんばんは。

現在、私の本作レビューを新しい観点で見直し中です。
4月21には投稿予定です。
拝読して頂いて、再共感頂けるならば、共感ポイントをお願いします。

ー以上ー

みかずき
根岸 圭一さんのコメント
2024年3月13日

コメントありがとうございます。

誰しも差別心は持っているのでしょう。
だからこそ、色々な物を見たり体験したり、様々な人との交流を通じて自分の世界を広げていくことが、差別心の解消に繋がっていくのではないかなと思います。映画を観るのはその一環ですね。

根岸 圭一
りかさんのコメント
2023年10月27日

こんばんは♪、
共感していただきましてありがとうございました😊
ドンは敢えて南部に行っています。これはどこかで読んだか、何か。その理由が、多分レビューや皆さんのコメントだと思います。
黒人として改革の一端となるか先鋒切るか⁉️しかし酷い差別。

りか
琥珀糖さんのコメント
2022年8月22日

皆さま、共感のコメントありがとうございます。
そして知らなかった数々。
教えて頂き感謝です。
この映画への熱い想い。
同じ気持ちです。
重ねてありがとうございました。

琥珀糖
セロファンさんのコメント
2022年8月19日

琥珀糖さん
フォローありがとうございます!私もフォローしたつもりになってました。今度ともよろしくお願いいたします。

セロファン
CBさんのコメント
2022年8月19日

> 友情は家族と同じか、時にそれ以上のことさえあります
ああ、ホントですね。その通り。だからこそ、友情は、映画でもこんなにたくさん題材になるのでしょうね。

> なぜドンは南部での演奏旅行をしたのか?
俺は、ドンは、現状に満足していなかったんだと思ってます。自分は鍛え抜いた音楽の腕で「上級黒人」の立場を得ているが、それでよしとはしていない。そもそも上級黒人ってなんじゃい!? と日々考えているんだと思います。現状をよしとしないドンが、少しでも世界を変える為に行うのが、南部での演奏旅行。自分は、演奏場所を選ばないという自負なんだと思います(差別が比較的少ない都市に演奏場所を絞らない)。場所を選ばず演奏することが、世界を変えるためのドンの行動。
そして、俺がこの映画を好きなのは、「そんなドンもトニーを運転手兼用心棒として雇った時はどうだったの?」と暗に聞かれている感じがするから。人種差別的な感覚は全ての人にあり、黒人のドンもヒスパニックを無意識のうちに下に見ていなかった? と問いかけてくる気がするからかと思います。そんな二人(ドンとトニー)が友情を感じていく、その友情は虐げられた人種同士の共感ではなく、ヒエラルキーみたいなものを超えたところに芽生えていると俺は観ている。友情は、そんなものを軽々と超えることができるんだと伝えている、と観ている。だからこそ、俺はこの映画が好きなんだと信じたいです。

おまけ
スパイクリー監督の批評「ドンは "魔法の黒人" だ。白人により良い変化をもたらすためだけに登場する、便利な黒人キャラクター扱いだ」という意見は(変わる白人が素晴らしいのであって、変えたきっかけを与えた黒人は単なる触媒扱いだ、という意味でしょうか)、この映画を観た人全てが、自分はどう観たかを、あらためてよく考えなければいけない、限りなく鋭い指摘なのだと思います。

さらにおまけ
今回の琥珀糖さんの投げかけ、素晴らしいです。俺、久しぶりに一所懸命、考えました。ありがとう。

CB
ごーるどとまとさんのコメント
2022年8月18日

こんばんは。いつもありがとうございます♪
日々とてもたくさんの映画を見ていらっしゃってびっくりです!そしてそれをきちんとレビューに残していらっしゃって素敵だなと。

レビューを読ませていただき琥珀糖さんの視点からもう一度この映画を見たくなりましたよ、それ程に素晴らしいです。

ごーるどとまと
セロファンさんのコメント
2022年8月18日

琥珀糖さん、共感&コメントありがとうございます。
大好きな作品です。ラストのドンの変化に心打たれました。
琥珀糖さんのレビューでの“問い”。とても大事な問題提起だと思いました。
現実を忘れないようにする為なのか…逃げずに闘いたかったのか…色々考えていくと、ドンという人物像により厚みが出てきて今まで以上に彼やこの映画の事が好きになりました。大切な事に気付かせていただき、ありがとうございます。

セロファン
NOBUさんのコメント
2022年8月17日

今晩は
 今作は、私のベスト5に入る傑作だと思っています。
 映画館で初日に観て、感動の余り席を立てず・・。
 で、直ぐに再び鑑賞しました。
 それまで、スリムだったヴィゴ・モーテンセンが大増量して臨んだ粗野だが非ではない人種偏見のない漢気溢れるドライバーと、マハーシャラ・アリ演じる黒人音楽家の偏見が蔓延る当時のアメリカの南部の旅が見事に描かれたロードムービーであり、ラスト、孤独だった黒人音楽家が躊躇いがちにヴィゴの家を訪れるシーン(二人が熱く抱擁する姿)は、何度観ても涙が溢れます。
 今作の様な映画を映画館で観るために、映画館に足を運んでいるNOBUでした。では。

NOBU
クリストフさんのコメント
2022年8月17日

最高に気持ち良く泣ける映画ですね👍
コレを上映中に観てなかったのが恥ずかしいくらいです💦

クリストフ
みかずきさんのコメント
2022年8月17日

琥珀糖さん
みかずきです

共感&コメントありがとうございます。

琥珀糖さんのレビュー、女性らしい感性細やかなレビューですね。
映画関連情報も豊富で、映画に対する造形の深さを感じます。

本作、古き良き時代のアメリカ映画の雰囲気を持った傑作でした。
かつては、本作のようなアメリカ映画は多かったので、懐かしかったです。

琥珀糖さんの問題提起、私は、あまり気付きませんでした。
やはり、女性ならではの繊細な観点ですね。

本作、差別を当たり前だと思っていた白人男性運転手が、黒人アーチストとのアメリカ南部を演奏旅行するなかで、差別の実態を知り覚醒し、黒人アーチストとの友情を深めていく心温まる物語です。

劇的な事は起こりませんが、日常的な出来事を積み上げて見応え十分な作品に仕上げています。アメリカ映画の底力、素顔が分かる作品だと思います。

では、また共感作で。

-以上-

みかずき
近大さんのコメント
2022年8月17日

アンチ派もいるらしいですが(スパイク・リーは猛烈批判)、ベタでご都合主義であっても、本当に見易くて嫌いになる点がない好編ですよね。
あのラストのウェルカムなクリスマスが、とてもとても幸福に満ちた気分にしてくれます(^^)

近大