劇場公開日 2019年3月1日

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「スノッブな白人観客」グリーンブック やまちゃん⛰さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0スノッブな白人観客

2022年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

旅には人生を変える、不思議な力がある。
一人ではなく他の誰かと旅をすると、
そして、その期間が長ければ長いほど、不思議な繋がり(絆に近いもの)が生まれる。

出自や価値感の違う二人、黒人ピアニストのドクターと、白人用心棒のトニーが主人公。
舞台は1960年代のアメリカ。
黒人が泊まれるホテル「グリーンブック」を頼りに、南部を音楽ツアーで周る。

当時は今以上に黒人に対する差別が酷かったようで、映画の中にはさまざまな差別がでてくる。
おそらく映画だからマイルドな表現で表されているけど、実情はもっと酷かったんだろうな。

ドクターは、黒人差別に勇気を持って立ち向かうために、差別の強い南部をツアーで周る。黒人差別をしていた用心棒のトニーも、ドクターと旅をする中で絆に近いものが生まれ、黒人差別に対して抗うようになる。

「相手の立場に立って考える。」
よく耳にする言葉。
でもそれが本当に難しい。
差別って、その人が育ってきた環境の影響が大きいと思う。
それは大きく言えば社会であったり、身近に言えば親であったり。
だから差別をする人にすれば、差別をすることはいわば普通の、当たり前の行為であると思う。
そこに罪悪感というものは、ない場合が多いんじゃないかな。
そういう意味で言えば、差別は骨の髄まで染み込んでいるものだと思う。

僕はこの映画を観て、自分はスノッブな白人観客側なんじゃないかと思った。
「差別はダメだと思いました。」
そんな小学生みたいな感想じゃ駄目なんよな。それじゃ外野で観てるだけ。
なにも変わらない。
僕らひとりひとりが、差別に対してどう行動していくかが大切。
人々の骨の髄まで染み込んでいる、差別に対して。

僕になにができるだろう。
僕はどう行動すればいいのだろう。

などと考えた映画でした。

やまちゃん⛰