劇場公開日 2019年7月26日

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「当初の高揚感が悪い意味で裏切られる。」アルキメデスの大戦 どうか夢だと言ってくれ!さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0当初の高揚感が悪い意味で裏切られる。

2022年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

まず戦艦大和は撃沈されると。これは事実であり、いかに主人公ががんばっても大和の建造を止めることはできないし、撃沈を逃れることはできない。では、彼は何をしたのかに注意が行くわけ。タイトルからも分かる通り、主人公は天才的な数学的能力で難問を解決するらしい。では、数学で何を求めていくのかというと……わずかな資料をもとに新建造船の本当の見積り金額を暴くという、なんだかスケールダウンしたことになっている。(おそらく原作がそうなのだろうし、見積り金額を積算するといってもそれなりに数学を使っている。冒頭からこの設定ははっきりしているのでネタバレとはいえないと思う)
実は鑑賞するまで、大和建造に関わる技術的な欠陥を指摘して対抗するものだと思っていた。実際、最終的にはそれも含まれているが、主題はあくまで見積り問題。「数学」に思い描く我々の想像の膨らみを見事に踏み潰してくれる。しかも数学という純粋な思考体系が「情緒」に敗北するという絶望的な展開。まあ、それが人間というものだ。
観ている間はそれなりに心を動かされるのだが、観終わってから何か釈然としないものを感じるのは、太平洋戦争を舞台にする作品の故か監督の力量か。監督の力量といえば、山崎貴という監督は基本的に人物の演出は苦手なのではないかと思う。菅田将暉は大人と子供の感性を両方持った人物としておそらく「自ら」演じていて感心するが、ほとんどの人物の描き方はあまりにも類型的。いつか見たあの時のあの演技にしか見えず、新たな感興を覚えない。記号的だ。
ラストの展開は「わー、気持ち悪っ」ってなること請け合い。ほんと気持ち悪いっす。

どうか夢だと言ってくれ!
無名さんのコメント
2022年1月30日

ぶってる。この一言に尽きる。

無名