劇場公開日 2019年7月26日

  • 予告編を見る

「新たな切り口のとっつきやすい戦争もの」アルキメデスの大戦 しずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0新たな切り口のとっつきやすい戦争もの

2019年9月11日
Androidアプリから投稿

史実を知っている我々としては、山本が反戦派でない事も、大和が建造される事も、戦争が起こる事も、負ける事も、多くを見殺しにし国土が焼かれる事も解ってしまっている訳で、戦争を止めなければという主人公の言葉も、逆境の中での奮闘も、常にどこか虚しさを覚えながら見てしまった。
山本も平山も掲げるのは軍人の論理大義。それを民意が後押ししていく。止めようのない時代の流れ。軍人は嫌いだ、数字は嘘を吐かない、と嘯いていた数学者が、結局は軍人の論理大義に呑み込まれていく結末も、あーあ、と諦めの嘆息を誘うばかり。軍人の論理に対して、主人公の論理が弱すぎる。それとも、止められない滅びへの道ならば、犠牲を呑んで全滅を避けるというのは、ある意味数字の上での最適解だったという皮肉だろうか?

終始史実を意識して見てしまったせいか、事前知識なくフワッと見てしまったせいか、閉塞感とげんなりした虚しさで留まってしまって、その先の怒りや恐怖まで感情が至らなかった。結果、強く残ったものも無く、何となくモヤモヤ、といった感じ。あくまで個人的にはですけれども。

ネタとしての切り口は現代風で面白い。
田中とのコンビも、ユーモラスで熱さもあって、バディものの風合いもあって良かったが、いかんせん数日間の物語とあって展開が超駆け足なので、関係感情の変化に気持ちが追い付けなかった。ヒロインとの関係も同様。
中盤の展開も、良く解らないが主人公凄ぇ、のワンパターンでちょい中弛み。
全体的に、もうひとつ惜しかったという印象。

コメントする
しずる