劇場公開日 2019年11月1日

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「温かいポトフを頂きながら滲みるギターに涙。マチネの終わりに」マチネの終わりに きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0温かいポトフを頂きながら滲みるギターに涙。マチネの終わりに

2020年7月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

過去で未来は変わるけれど、未来の有り様でも過去は変わる。それだけ過去は繊細。

この音楽が明日のあなたの幸せになりますように。

パリ、ニューヨーク、マドリッド ~
「情熱と冷静の間」とか「新しい靴を買わなくちゃ」とか、ピンからキリまで、(どっちがピンでどっちがキリだ?) 海外にいるとどこか別のアドレナリンが出てきます。“それまで知らなかった新しい自分が新しい舞台で開発されている驚き”は経験された方もおられるのでは?特にひとり旅において。
⇒いい台詞が、いいシチュエーションで実に自然に流れ出しているのです。

冒険の人生を少しく離れ、日々の忙しさに紛れていると「過去」どころか「現在」も「未来」も固着してしまうかもです。

そして我が人生の時間はとどまることを知らず、取り返しのつかない過ぎし日の傷は、後ろ向きの後遺症の余生を僕に与えていたように思います。

ずっとギターが流れる映画でしたよね・・
福田進一のギターは昔から大好きでした。(BGM 及び吹替え)。
ギターの音色は、何と言ったら良いのかな、人間の心の底に沈んでいる良心を、息を吹き返らせてくれる優しさがあるのかも知れない。乾いた魂に慈雨を注がれた気がします。

観て良かった。
少々疲れてメンタルも荒れ気味だった今宵の僕に、蒔野の口を通して語られたアドバイスは一筋の光明になりました。
話を続けるために話題を変える蒔野の懐の深さたるや。見事。

冷めたポトフを温め直してみて、
大切だった人の幸せを今からでも祈れる自分になりましょう。

・・・・・・・・・・・・・

複雑で答えのない人間模様を書かせたら天下一品、原作者平野啓一郎。三島由紀夫の再来と言われた人ですよね。
「小説の面白さ」というものをこの映画はうまく形にしています。鑑賞後の余韻は、それはそれは永く続きます。

きりん
琥珀糖さんのコメント
2023年2月6日

きりんさん
お褒めの言葉ありがとうございます。
実は私もきりんさんのレビュー、とても素敵だと思い
コメントしようかと思ってました。
〉話を続けるために話題を変える蒔野の懐の深さ・・・
そうなんですよ。
こう言う会話の出来る人になりたいですよ。
蒔野がポトフを温め直すシーンもグッと来ました。

それでは良い一日を。

琥珀糖
セロファンさんのコメント
2021年1月24日

きりんさん、コメントありがとうございます。マネージャー役の女優さん、ドロドロの役ではありましたが、きっとこの作品でより一層注目されたでしょうね。他の作品でも見れるのが楽しみです。

セロファン
グレシャムの法則さんのコメント
2020年7月20日

きりんさん、コメントありがとうございました。
原作をどう料理するか、という意味で今私が仕込み中なのが、『朝が来る』。
朝ドラの、人生は〜紙飛行機〜🎵と間違えそうですが、まったく別物です😄
まだ半分読んだところですが、なかなかにシリアスでミステリアス。河瀬直美監督がどう仕掛けてくるか、今から楽しみです。

グレシャムの法則
kossyさんのコメント
2020年7月20日

きりんさん、こんな夜中にこんばんは!
ほぼギターの知識だけで書いたレビューにコメントいただきました、誠にありがとうございます。
こういう映画は大好きです!
なんというか、泣ける上にネタの宝庫。
ほとんど映画見ながらネタを考えてしまいました・・・

kossy