劇場公開日 2019年11月1日

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「平野啓一郎氏が気の毒」マチネの終わりに ブラックCATさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5平野啓一郎氏が気の毒

2019年11月13日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

原作読んだものとしては原作者が気の毒の一言。
映画ではこんな雑な作りになるとは残念です。
あまりにリアリティにかけるのも仕方ない。
長崎ロケもなく、原作にある洋子の母の生き様も洋子に通じる強さがあるのに描かれていません。

原作の冒頭にもあるように、この小説にはモデルが実際にいると私は思っています。
ここからは私の個人的な妄想の類いですが、女性はシリアで亡くなった美人ジャーナリストの山本美香さん。石田ゆり子さんを彷彿とさせる容姿。でも性格は石田ゆり子さんとは大違い、そこがこの役を石田ゆり子さんが演じてミスキャストとして足を引っ張っています。石田ゆり子さんは日本の男性に好まれるあまりにも日本的な女性。でも山本美香さんはもっと自分をしっかり持たれた個人として立つ欧米的な女性という印象。どなたかが書かれていたように板谷由夏さんのような意志を持つイメージ。
PTSDを発症したホテルのテロ事件は山本美香さんが体験したパレスチナホテルでのテロ事件を思い出させますね。

ギタリストは山下和仁さん。映画では石田ゆり子さんが長崎出身でしたが、本来は山下和仁さんが長崎出身。福山雅治さんの髪型や佇まいはまさに山下和仁さんに瓜二つでした。平野啓一郎さんも山下和仁さんとは親交があり、クラシックギターが好きな作者が敬愛されてもいます。

原作にあるバッハの録音、演奏活動に行き詰まり活動が減っていくのも山下和仁さんに重なります。そして山本美香さんが銃弾に倒れてから山下和仁さんの活動は完全に止まっているようです。
山下和仁さんの奥様で作曲家の藤家渓子さんもまた映画で妻を演じる桜井ユキさんに髪型、細面など似ていらっしゃいます。

山本美香さんには事実婚と言われたジャーナリストがいらっしゃって、亡くなられた時も一緒にシリアで取材されていました。でも当時ワイドショーの取材でその方は山本美香さんから事実婚の解消を言い出されていたんですよね?と突っ込まれていました。その方はそんなことは無いと強く否定されていて不自然に感じたのを覚えています。

もしも私の妄想通り、山下和仁さんと山本美香さんの間に何らかの想いが通いあっていたのなら、この小説や映画はそれを知る平野啓一郎氏によって愛を昇華させるべく、ふたりへの贈り物なのかもしれないと思いました。
何はともあれ、山本美香さんの御冥福と世界的天才ギタリスト山下和仁氏の演奏活動再開を心より願います。

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ブラックCAT