劇場公開日 2019年10月11日

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「大女優のオーラが」真実 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大女優のオーラが

2020年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず先に言いたいのは、
是枝裕和はドキュメンタリーの監督であるということ。
これを忘れてはいけない。
彼が描く作品は、このスピリットが失われていないので、
叙情的なシーンなど、「は?なにこれ?」となるケースが多い。
しかしこれはドキュメンタリーですと前置きすると納得するケースが多い。

今回の作品もカトリーヌ・ドヌーブのドキュメンタリー作品ですと思って鑑賞すると、
往年の大女優は今でも健在で、イーサン・ホークが小さく見えることが何よりそれを表している。

そして前半眠たい展開も、後半になるにつれて、
なるほどこう来たかというセリフの往来。
前半から魔法使いが亀にのくだりは面白かったけれど、
後半、娘との距離の取り方や、執事とのやりとり、
カトリーヌ独特の表現のしかたに、
あぁ、やっぱりこれはファビエンヌではなく、カトリーヌのドキュメンタリーだと気が付く。
シャルロットもとってもよかった。

シワシワのおばあちゃんなのに、真っ赤なマニキュアを忘れない。
胸よりお腹が出っ張っている体型なのに、シルクのパジャマとか着ちゃう、
犬の散歩なのにあんなに着飾っていく。
あぁ、ホントに彼女の日常を観ているよう。
特にエンドロールが私のお気に入り。
なんてことないシーンなのに、すごく惹かれる。
これが是枝監督のやり方なんだなと思った。

あらゆる役者をリスペクトしているからこそできる表現。

しかし編集がきっと別な人なのだろうと思う。
あちこち本当に雑で、
日本人独特の余韻は清々しいほどカットされている。
そういえば、これは母と娘の確執の話だったはずなのに、
終わってみれば、そういえばそんな話だったねと思う始末w

茉恭(まゆき)