劇場公開日 2019年6月7日

「江ノ島水族館のCMとしては星5つ。」海獣の子供 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0江ノ島水族館のCMとしては星5つ。

2019年6月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

海獣に育てられたという少年、海と空に出会った少女琉花が経験する一夏の不思議な経験を描くファンタジー・アニメ。

琉花の母、加奈子の声を演じるのは、『フラガール』『彼女がその名を知らない鳥たち』の蒼井優。

初めて五十嵐大介先生の原作を読んだ時、「これをアニメにしたらすごいだろーなー!でも無理だろうな〜…」とか思ってました。

そんななか、スタジオ4℃がアニメ化すると聞いて、かなりの不安を感じながらも、これは映画館に観に行かねば!と思い、鑑賞しました。

同じ五十嵐作品なら「SARU」や「魔女」の方が映画化し易かったはずです。
多々ある作品の中から「海獣の子供」を選んだのは、あの圧倒的な海の描写を描き切る自信と覚悟がスタジオにあったのでしょう。

正直観る前からシナリオには期待していませんでした。
あの話をたった2時間で描くのは無理があるだろうと。
どれだけすごい映像で魅せてくれるのかを期待していこうと。

確かに映像は恐ろしい程のクオリティ!全身が総毛立つ程の迫力と美しさです。
「日本のファンタジア」といっても過言ではないのでは?
日本アニメ界における最高到達点といっても良いかもしれません。
深く恐ろしい海の描写には、全身鳥肌が立つほどでした!

ただ、シナリオは壊滅的にダメ。覚悟していたにもかかわらずダメでした。
完全にシナリオを視聴者に理解させようとしていない。「わからなくて結構!うちは映像で勝負なんでっ!」という姿勢が気に食わない。

原作も同じように難解です。しかし単行本5巻をかけてキャラクター、世界観の掘り下げをしっかりとしているので、キチンと向き合えば理解することが出来る内容になっている。

漫画という媒体ならば自分のペースで読んでいけるし、理解できなければ遡って読み直すことが出来る。
しかし映画という媒体では理解出来ようが出来なかろうがストーリーがドンドン先に進んでいくので、「わけわからんっ!」という感情が蓄積されていって、中盤から理解しようと考えることすら面倒になってしまう…

ジムやデデ、アングラードという何人なのかもよくわからん人達が江ノ島に集まって、それぞれが訳のわからんことをいって、訳のわからん祭りに参加する話です。

あえて登場人物を絞るとか、クライマックスは漫画と大きく変えるとかしないと映画にならないですね。
15分くらいに編集して江ノ島水族館のCMとして流せば大傑作になったのでは?

米津玄師はこれまであまり好きではなかったのですが、この映画の主題歌は素晴らしい!
逆に、大好きな久石譲の音楽は正直あんまり印象に残らない感じでした。

声優も芦田愛菜ちゃんを始め、『リメンバー・ミー』でも素晴らしい演技をしていた石橋陽彩君や蒼井優、稲垣吾郎と結構良かったです。
ただ、凄い棒なモブがいるなー、と思ってキャスト欄を見ると、「尼神インター」の名前が…
こういう知名度だけで選んだ人気芸人起用は作品を貶めるだけだと思うので、本当にやめて頂きたい!

たなかなかなか
もりのいぶきさんのコメント
2020年7月14日

たなかなかなかさん、お邪魔します。

画面綺麗 だけど難解 …ですよねぇ

原作未読での鑑賞だったので
「原作読んだ後ならば、何か新しい発見が」
と、原作の読破に挑むのですが
そのつど
「沈没して振り出しに戻る」
を、繰り返しています とほほ

原作も手強いです (涙)

もりのいぶき