劇場公開日 2019年6月14日

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「「強くあれ。」マクロとミクロで露になる、人間の本性とは。」パージ:エクスペリメント 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「強くあれ。」マクロとミクロで露になる、人間の本性とは。

2019年6月30日
PCから投稿

悲しい

怖い

興奮

【賛否両論チェック】
賛:「パージ法」成立に向けた実験を通して描かれる研究側や参加者の姿に、人間の本質を見るようで恐怖をも感じさせる。生き残るために戦い続ける主人公達の活躍からも、目が離せない。
否:まるでホラー映画のように、急に驚かせるシーンが結構あるので、苦手な人には向かない。ストーリーのツッコみどころも多く、グロシーンもあり。

 人気シリーズ「パージ」の原点を描いた本作。狂気の法律・パージ法がいかにして作られていったのか、その裏側にあった研究者の思惑や、それを利用しようと暗躍する政治家の姿、そして何よりパージによって露になる人間の本性に、決してフィクションでは片づけられない一種の恐ろしさを禁じえません。
 また、日常を不条理な無法地帯にされながらも、貧困ゆえに巻き込まれてしまい、なんとか生き残ろうと奔走するナイア達や、自分達の居場所を守るために孤軍奮闘するディミトリ達、若気の至りからの現実を突きつけられて目を覚ますイザヤ等、ミクロな視点での人々の戦いが描かれていくのも印象的です。
 ただ、そもそものストーリーがかなり荒唐無稽なのと、ホラー映画のように急に驚かせるシーンが多いのとで、好みは大きく分かれそうな作品でもあります。
 それにしても、劇中に登場する隣人のドロレスを見ていると、いつの時代もどこの国でも、おばちゃんパワーはスゴいんだなって感心してしまいますね(笑)。

映画コーディネーター・門倉カド